コレステロールは人間にとって身体を作るために不可欠な栄養素で、全体の約8割が肝臓から合成され、残りの約2割は食事によるといわれています。
悪玉コレステロール(LDLコレステロール)が高くなった時に、肝臓でコレステロールの合成を抑えるリピトール(成分名:アトルバスタチン)が処方されることがあります。
「グレープフルーツと飲み合わせが悪いのはなぜ?」
「間隔あければグレープフルーツは摂取していい?」
「メバロチン・クレストールとの違いは?」
「ジェネリック医薬品はある?」
リピトールが処方される患者さんから薬局で相談を受ける内容の回答をまとめました。
有効成分・作用
リピトールには有効成分のアトルバスタチンが5mgと10mg入った2つのタイプが存在します。
アトルバスタチンは肝臓で悪玉コレステロール(LDLコレステロール)の合成を抑えます。
また中性脂肪(TG)を下げ、善玉コレステロール(HDLコレステロール)を増やす作用もあります。
効能・効果
リピトールの効能・効果です
- 高コレステロール血症
- 家族性高コレステロール血症
飲み忘れた場合の対応
一般的に飲み忘れた場合は寝る前までなら1錠服用して問題ないとされています。
食事に影響を受けないため、空腹時でも効果に変わりはありません。
グレープフルーツジュースとの飲み合わせ
リピトール(アトルバスタチン)を服用中にグレープフルーツやグレープフルーツジュースを摂取するとリピトールの血中濃度や上昇したり、最大血中濃度に達するまでの時間(Tmax)が早くなることが報告されています。
リピトール(アトルバスタチン)は肝臓や小腸に存在するCYP3A4(シップスリーエーフォー)と呼ばれる酵素によって分解されます。
リピトール(アトルバスタチン)を分解する小腸のCYP3A4(シップスリーエーフォー)と呼ばれる酵素をグレープフルーツの果実に多く含まれるフラノクマリン類が阻害するため、薬が分解されず、結果的に薬が効きすぎてしまいます。
本来ならリピトール(アトルバスタチン)が小腸から血液中に吸収される過程で、消化管の上皮細胞に存在するCYP3A4によって代謝・分解され、代謝・分解されない一部が血液中に吸収されています。
グレープフルーツによって消化管の上皮細胞に存在するCYP3A4が不可逆的に阻害されると、消化管でのリピトール(アトルバスタチン)の代謝が阻害され血液中に吸収される量が上昇してしまうのです。
グレープフルーツの小腸でのCYP3A4阻害作用は不可逆的で、摂取後数日間は回復しないため、たとえ間隔をあけたとしても摂取は控えた方がいいとされています。
メバロチン(プラバスタチン)と強さの違い
同じスタチン系の薬剤にメバロチン(成分名:プラバスタチン)という薬があります。
薬局ではメバロチン(プラバスタチン)でなかなかLDLコレステロールが下がらなかった方にリピトール(アトルバスタチン)に切り替わることがあります。
作用機序は同じですが、メバロチンはスタンダードスタチンといわれ、LDLコレステロールを15〜20%低下させますが、リピトールはストロングスタチンといわれLDLコレステロールを30〜50%低下させます。
クレストール(ロスバスタチン)と強さの違い
「クレストールとリピトールはどう違うの?」
薬が切り替わった患者さんから聞かれることがありますが、どちらもストロングスタチンに分類されLDLコレステロールを下げる強さには大きな差はありません。
ジェネリック医薬品との違いはある?
リピトールには薬価の安いジェネリック医薬品が販売されています。
リピトールの主なジェネリック医薬品一覧
- アトルバスタチン錠「サワイ」
- アトルバスタチン錠「トーワ」
- アトルバスタチン錠「日医工」
- アトルバスタチン錠「NP」
先発品のリピトールと添加物に違いはありますが、有効成分や効能・効果には違いはありません。