鉄欠乏性貧血の際に処方される薬がフェロミア錠(成分名:クエン酸第一鉄ナトリウム)です。
フェロミア錠について薬局で患者さんから聞かれることや服用の注意点についてまとめてみました。
フェロミアに関する疑問を少しでも解決できると幸いです。
ジェネリック医薬品(後発品)との違い
フェロミア錠には薬価の安いジェネリック医薬品が販売されています。
- クエン酸第一鉄Na錠50mg「JG」
- クエン酸第一鉄Na錠50mg「サワイ」
- クエン酸第一鉄ナトリウム錠50mg「ツルハラ」
- フェニレン錠50mg
- フェネルミン錠50mg
- フェロステック錠50mg
添加物は先発品のフェロミア錠と異なりますが、有効成分や効能・効果は全く同じとなっています。
コーヒー・緑茶(タンニン酸含有物)の飲み合わせ
薬局で薬剤師から
「フェロミアとコーヒーは一緒に飲まないでくださいね」
「緑茶は極力一緒に飲まないでくださいね」
と指導された方もいらっしゃるのではないでしょうか。
コーヒーや緑茶は渋み成分の「タンニン酸」を含んでいるのですが、タンニン酸が鉄分とくっつくため(キレート形成)、吸収が低下することが報告されています。
本剤では、タンニン酸を含有する食品により吸収が阻害されたとの報告はないが、鉄剤服用に際し、緑茶、コーヒー等のタンニン酸を含有する飲料を摂取した場合、タンニン酸と鉄が高分子キレートを形成し吸収が阻害されることが報告されている。硫酸鉄水和物製剤では、鉄剤とタンニン酸又は緑茶を同時服用したところ、鉄吸収率はタンニン酸で約 1/2、緑茶で 2/3 に低下したとの臨床報告がある。
引用元 フェロミアインタビューフォーム
フェロミア錠ではタンニン酸含有の食品で吸収が低下した報告はなく、また貧血患者の場合、腸管での鉄吸収が亢進していることからタンニンによる影響は無視できるとの報告もあります。
しかし念のため、フェロミアと同時にコーヒーや緑茶を摂取するのは避けるようにしましょう。
フェログラデュメットとの違い・比較
フェロミアと同じ鉄欠乏性貧血に処方される鉄剤にフェロ・グラデュメットという薬があります。
フェログラデュメットには1錠中に乾燥硫酸鉄を鉄として105㎎含有されています。
フェログラデュメットの有効成分である硫酸鉄はタンニンとの影響を受けやすいのですが、改良されタンニンとの影響をより少なくしたのがフェロミア(クエン酸第一鉄ナトリウム)です。
妊娠・授乳中の服用
フェロミア(クエン酸第一鉄ナトリウム)は妊婦や授乳中であっても安全に服用することができると考えられます。
吐き気の副作用を予防するために
フェロミア(クエン酸第一鉄ナトリウム)で最も多い副作用が「吐き気」です。
吐き気がひどく服用を続けられないケースもありますが、極力吐き気の副作用を少なくするためにも、空腹時の服用は避けて、食後にコップ一杯の水で服用するようにしましょう。
セフゾン(セフジニル)との飲み合わせ
セフェム系の抗生物質であるセフゾン(一般名:セフジニル)とフェロミアを併用すると、キレートを作りセフゾンの吸収が1/10に低下することが報告されています。
そのためセフゾンを服用後3時間は間隔をあけてフェロミアを服用するようにしましょう。
クラビット(レボフロキサシン)との飲み合わせ
ニューキノロン系の抗生物質とフェロミアを服用するとキレートを形成し、ニューキノロン系抗生剤の吸収が低下することが報告されています。
ニューキノロン系の抗生剤の代表的な薬剤がクラビット(一般名:レボフロキサシン)です。
クラビットとフェロミアを併用する場合、クラビットを服用して1〜2時間間隔をあけてフェロミアを服用するようにしましょう。
便が黒くなるのは副作用?
フェロミアを服用すると便が黒くなることがあります。
薬の色ですので、全く問題ありません。
歯が茶色に着色する?
フェロミアを服用すると、まれに歯が茶色に変色することがあります。
変色した場合は、重曹で磨けば汚れを落とすことができます。