下痢止めとして処方される飲み薬にキョウベリン錠(一般名:ベルベリン塩化物水和物)があります。

キョウベリン錠について下痢への作用機序や特徴をまとめました。

有効成分のベルベリンとは?

キョウベリン1錠中には有効成分であるベルベリン塩化物水和物が100mg含まれています。

ベルベリンはミカン科のキハダ、キンポウゲ科のオウレンから抽出されたもので古くから健胃薬や腸内殺菌整腸剤として使われてきました。

植物由来で歴史もあり安全性の高い薬です。

作用機序

キョウベリン錠には下記の働きがあります。

  • 殺菌作用
    腸内有害細菌である赤痢菌、チフス菌、ブドウ球菌、有害大腸菌などに対する殺菌作用。
  • 腸内腐敗・発酵抑制作用
    腸内の有害菌が作り出す有害物質(インドール、 スカトール)の生成を抑制し腸内の腐敗・発酵を抑えます。
  • 胆汁分泌作用
    胆汁は脂肪を分解し、腸からの吸収を促す働きがあるのですが、胆汁の分泌が少ないと、腸内に脂肪がたまり、腸内環境が悪化してしまいます。
    ベルベリンは胆汁分泌を促すことで、腸内環境を改善する作用もあります。
  • 蠕動抑制作用
    下痢の時は腸が過剰に運動しているケースがあります。
    ベルベリンは過剰な腸の運動(蠕動運動)を抑える作用があります。

副作用は便秘

キョウベリンの副作用に便秘があります(0.1~5%未満の確率)。

腸の蠕動運動を抑えるため、便秘は仕方のない副作用といえるでしょう。 

便秘がひどい場合は主治医やかかりつけの薬剤師に相談してみてください。

下痢の時に自宅にあるキョウベリンを服用していい?

「下痢なんだけど、家にあるキョウベリン錠を飲んでもいいですか?」

薬局で時々相談を受けることがあります。

キョウベリン錠は細菌が原因となる下痢には原則禁忌(げんそくきんき)といって原則として使用できません。

作用機序からもわかるように、キョウベリンは腸の運動を抑える作用もあることから、腸管内から細菌が排出されるのを遅らせてしまうからです。

下痢がひどい時は自己判断での薬の服用は避けて、医療機関を受診するようにしましょう。

フェロベリン配合錠とキョウベリン錠の違い

ベルベリン塩化物水和物が入った下痢止めにフェロベリン配合錠と呼ばれる薬があります。

フェロベリン配合錠にはベルベリン塩化物水和物に加え、ゲンノショウコという成分が配合されています。

ゲンノショウコはフウロソウ科の植物で抗菌、胆汁分泌促進、収れん作用があります。

具体的な作用機序についてはこちらにまとめています。
フェロベリン作用機序・効能・効果・特徴