胃炎や胃潰瘍に処方される薬がムコスタ錠(成分名:レバミピド)です。
ムコスタは胃粘膜を保護したり、フリーラジカルを抑制し活性酸素を消去したり、傷ついた胃粘膜を修復する作用があります。
薬局ではロキソニンなどと併用して処方されることがあり、
「胃を保護する薬です」
と説明を受けたこともあるかと思います。
ムコスタについて薬局で聞かれる質問を中心にまとめてみました。
作用機序
ムコスタ(レバミピド)がなぜ胃潰瘍や胃炎に効果があるのか?
作用機序について説明したいと思います。
ムコスタには
・胃粘膜保護作用
・活性酸素抑制作用
・損傷胃粘膜修復作用
・胃粘膜血流増加作用
があるとされています。
またNSAIDsと呼ばれる解熱鎮痛剤や、ピロリ菌による胃粘膜障害を抑える作用もあります。
そのため痛み止めのロキソニン(成分名:ロキソプロフェン)とセットで併用されることが多くあります
効能・効果・胃もたれに効く?
ムコスタ(レバミピド)の効能・効果は下記の通りです。
・胃潰瘍
・下記疾患の胃粘膜病変(びらん、出血、発赤、浮腫)の改善
急性胃炎、慢性胃炎の急性増悪期
「胃もたれには効く?」
と時々患者さんから聞かれますが、ムコスタは胃もたれに効果はありません。
食前・空腹時に服用してもいい?
ムコスタ(レバミピド)は食事の影響を受けない薬です。
そのため食前に服用しても、食後に服用しても吸収に差は出てきません。
同じ胃を保護するセルベックスカプセルは空腹時に服用すると吸収が落ちるため、頓服ではムコスタがよく使用されます。
市販薬はある?
「ムコスタ(レバミピド)に市販薬はある?」
時々患者さんから聞かれますが、ムコスタの有効成分であるレバミピドの市販薬は2017年時点では発売されておりません。
ムコスタと同じように胃を保護する薬としてセルベールという市販薬が発売されています。
妊娠・授乳中の使用
「妊娠中だけどムコスタ(レバミピド)服用してもいい?」
と患者さんから聞かれることがありますが、製薬メーカーの説明書では「治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること」となっています。
しかし実際の現場では催奇形性が報告されていないことから妊婦さんにも処方されることはあります。
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。(妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。)
引用元 ムコスタインタビューフォーム
授乳中に関しては製薬メーカーの説明書では「授乳を避けさせること」とされています。
授乳中の婦人には本剤投与中は授乳を避けさせること。
[動物実験(ラット)で乳汁中へ移行することが報告されている。]引用元 ムコスタインタビューフォーム
しかし、授乳による乳児への有害事象の報告もなく授乳婦に使用可能という見解もあります1)。
1) 社団法人 愛知県薬剤師会 妊婦・授乳婦医薬品適正使用推進研究班「妊娠・授乳と薬」
ジェネリック医薬品との違い
ムコスタ錠には薬価の安いジェネリック医薬品が多数販売されています。
主なジェネリック医薬品として
- レバミピド錠100mg「EMEC」
- レバミピド錠100mg「サワイ」
- レバミピド錠100mg「NP」
- レバミピド錠100mg「杏林」
- レバミピド錠100mg「トーワ」
があります。
先発医薬品に比べて添加物に違いはありますが、有効成分や効能・効果は全く同じとなっています。
抗がん剤による口内炎にも効果あり?
ムコスタ(レバミピド)はヒドロラジカル消去作用とスーパーオキサイド産生抑制作用といったフリーラジカル除去作用があることが報告されています。
抗がん剤を投与した時に口の粘膜にフリーラジカルが発生し口内炎が問題になることが多いのですが、臨床現場ではムコスタ(レバミピド)によって予防できたという事例も報告されています。