慢性胃炎による胸やけや吐き気などに処方される薬がガスモチン(成分名:モサプリドクエン酸塩)です。

ガスモチン

出典 大日本住友製薬

ガスモチンの作用機序、薬局で患者さんから聞かれる質問についてまとめてみました。

作用機序(メカニズム)

なぜガスモチンが慢性胃炎による胸やけや吐き気、悪心を改善するのでしょうか?

作用機序(メカニズム)について説明したいと思います。

胸やけや吐き気、悪心の原因の一つに消化器の運動が悪くなることがあります。

消化器の動きを正常にさせる物質としてアセチルコリンがあります。

アセチルコリンは消化管にあるセロトニン5-HT4受容体が刺激されることで放出されるのですが、ガスモチンはセロトニン5-HT4受容体アゴニストと呼ばれ、消化管にある5-HT4受容体を刺激し、アセチルコリンを放出させる働きがあります。

アセチルコリンを増やすことで、消化器の運動が改善し、悪心や吐き気を軽減させます。

ジェネリック医薬品・違い

ガスモチン錠には薬価の安いジェネリック医薬品が販売されています。

モサプリドクエン酸塩錠5mg+メーカー名の名前で日医工トーワ薬品サワイ製薬などから販売されています。

先発品のガスモチンと添加物は異なりますが、有効成分と効能・効果は全く同じとなっています。

妊娠・授乳中の服用

「妊婦だけど、ガスモチン(モサプリドクエン酸塩)服用できる?」

患者さんから聞かれることがあるのですが、製薬メーカーの説明書では「治療上の有益性が危険性を上回る場合のみOK」となっています。

妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。〔妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。〕

引用元 ガスモチン添付文書

また授乳中にガスモチンを服用する場合、製薬メーカーの説明書では「授乳を中止すること」となっています。

授乳中の婦人に投与することを避け、やむを得ず投与する場合は、授乳を中止させること。〔動物実験(ラット)で乳汁への移行が報告されている。〕

引用元 ガスモチン添付文書

一方、大分県の産科医会と小児医会、薬剤師会の研究データによると下記のようになっています。

ヒトでの情報が見当たらないが、血漿蛋白結合率が高く乳汁中へ移行しにくいと予想される。

引用元 大分県『母乳と薬剤』研究会

市販(OTC)で販売されている?

「ドラッグストアなどでガスモチンの市販(OTC)では売っている?」

患者さんから時々聞かれるのですが、ガスモチンの有効成分であるモサプリドクエン酸塩が入った市販薬は販売されていません。

副作用で下痢になる?

ガスモチンの主な副作用(0.1~2%未満の確率)は下記の通りです。

下痢・軟便、口渇、腹痛、 嘔気・嘔吐、好酸球増多、ALT(GPT)の上昇、倦怠感、中性脂肪の上昇

特に一番多い副作用として下痢軟便があります。ガスモチンは胃腸の運動をよくする働きがありますので、便が緩くなったり、下痢がでるのは仕方のない副作用といえるでしょう。

しかし頻度としては低く、ガスモチン自体が副作用の少ない薬になっています。