風邪や膀胱炎、副鼻腔炎の時に処方される抗生物質がセフゾンカプセル(成分名:セフジニル)です。

セフゾン

出典 アステラス製薬


細菌の細胞壁の合成を阻害することで効果を発揮するセフェム系抗生物質と呼ばれる薬です。

セフゾンカプセルは100mgと50mgの2種類があります。

セフゾンは比較的安全な薬であることから臨床現場では多く処方される薬です。

薬局で質問を受ける内容を中心にセフゾン(セフジニル)についてまとめてみました。

効能・効果

セフゾン(セフジニル)に適応のある細菌と適応症は下記の通りとなります。

適応菌

セフゾンに感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、淋菌、モラクセラ(ブランハメラ)・ カタラーリス、大腸菌、クレブシエラ属、プロテウス・ミラビリス、プロビデンシア属、インフルエンザ菌、ペプトストレプトコッカス属、アクネ菌

適応症

表在性皮膚感染症、深在性皮膚感染症、リンパ管・リンパ節炎、慢性膿皮症、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、乳腺炎、肛門周囲膿瘍、咽頭・喉頭炎、扁桃炎、急性気管支炎、肺炎、 膀胱炎、腎盂腎炎、尿道炎、バルトリン腺炎、子宮内感染、子宮付属器炎、麦粒腫、瞼板腺炎、 外耳炎、中耳炎、副鼻腔炎、歯周組織炎、歯冠周囲炎、顎炎

クラミジアには効く?

「セフゾン(セフジニル)を飲んだらクラミジアも同時に効く?」と薬局で聞かれたことがありますが、セフゾンはクラミジアには効果はありません

用法・用量

通常セフジニルとして成人1回100mgを1日3回服用します。

セフゾンのジェネリック医薬品

セフゾンカプセルには薬価の安いジェネリック医薬品が存在します。。

  • セフジニルカプセル100mg「日医工」
  • セフジニルカプセル100mg「ファイザー」
  • セフジニルカプセル100mg「TYK」
  • セフジニルカプセル100mg「TCK」
  • セフジニルカプセル100mg「JG」
  • セフジニルカプセル100mg「YD」
  • セフニールカプセル100mg(トーワ)

先発品のセフゾンと添加物は異なりますが、有効成分は全く同じとなっています。

鉄剤との併用

セフゾン(セフジニル)と鉄分を同時に摂取すると、鉄イオンとセフゾンがくっつきほとんど吸収されなくなるので注意しましょう。

10分の1まで効果が減弱することがあるので併用は避ける方がいいですが、やむを得ず併用する場合は3時間は間隔をあけて服用するのがよいでしょう。

ワルファリン(ワーファリン)との併用

セフゾン(セフジニル)を服用することで腸内細菌によるビタミンK の産生が抑制され、ワルファリンの作用が増強される可能性があるとされています。

アルミニウム・マグネシウムとの併用

作用機序は不明ですが、アルミニウムやマグネシウム(マグミット・酸化マグネシウムなど)と併用するとセフゾンの吸収が低下し、効果が減弱されるおそれがあるので、セフゾン服用後2時間以上間隔をあけて服用するようになっています。

妊娠中(妊婦)の使用

セフゾンは比較的安全な抗生物質のため、妊娠中の方にも処方される機会があります。

アメリカの薬剤胎児危険度分類基準(FDA:Pregnancy Category)ではランクBの「人での危険性の証拠はない」と位置付けられています。

日本での妊娠中のセフゾンの服用についてメーカーの資料を抜粋します。

妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。(妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。)

引用元 セフゾンインタビューフォーム

授乳中の使用

授乳中のセフゾンの服用について、製薬メーカーの添付文書に注意書きがないことから「授乳を中止しなくても服用OK」と指導されるケースがあります。

また海外の基準でもセフゾン(セフジニル)は最も安全なL1に位置づけられています。

L1 適合(安全):compatible

多くの授乳婦が使用するが、児への有害報告なし。対照試験でも児に対するリスクは示されず、乳児に害を与える可能性はほとんどない。又は、経口摂取しても吸収されない。

 

副作用(下痢・腹痛)

主な副作用(0.1~5%未満の確率)は下記のとおりです。

下痢、腹痛、胃部不快感、発疹

水のような下痢になった場合は主治医や薬剤師に相談するようにしましょう。

便・尿が赤くなる?

セフゾン(セフジニル)を服用すると便や尿が赤くなることがありますが特に問題はありません。

お酒(アルコール)との飲み合わせは?

「セフゾン服用しているけどお酒は飲んでいい?」

と患者さんから聞かれることがあります。

薬学的にはアルコールとセフゾンの飲み合わせは問題ありません。

しかし風邪の時や細菌感染の際にはアルコールを大量に摂取することは控えた方がいいため、ほどほどに抑えるようにしましょう。