病院で処方される医療用医薬品の去痰薬にムコダイン(一般名:カルボシステイン)とクリアナール(一般名:フドステイン)があります。

薬局では患者さんから

「ムコダインとクリアナールどう違うの?」

といった質問を受けることがあります。

それぞれの違いや使い分けについてまとめました。

効能・効果の違い

薬品名効能・効果
ムコダイン・下記疾患の去痰
上気道炎(咽頭炎、喉頭炎)、急性気管支炎、気管支喘息、慢性気管支炎、気管支拡張症、肺結核

・慢性副鼻腔炎の排膿 

クリアナール・以下の慢性呼吸器疾患における去痰
気管支喘息、慢性気管支炎、気管支拡張症、肺結核、塵肺症、肺気腫、非定型抗酸菌症、びまん性汎細気管支炎

クリアナールは「慢性呼吸器疾患の去痰」になっていますが、ムコダインは慢性、急性に関わらず使用が可能です。

そのため、急性の風邪にはムコダインが使われる頻度が高いです。

またムコダインには慢性副鼻腔炎での排膿にも効能があるため耳鼻科でも頻繁に処方されます。

作用機序(気道粘液修復薬)

ムコダインもクリアナールも「気道粘液修復薬」に分類されます。

作用機序も同じで、どちらも「痰の粘性を低下させて痰を排出しやすくする」働きがあります。

痰は水とムチンで構成されています。

ムチンが粘りの原因となるのですが、細菌やウイルスなどが侵入するとムチンの構成バランスが崩れ粘性が高くなります。

ムコダインとクリアナールはムチンの構成バランスを正常に整え、またムチンの分泌を抑えることで痰の粘性を低下させるのです。

より細かい作用機序についてはこちらにまとめました。

クリアナール・スペリアの作用機序・妊娠・授乳中の服用

ムコダイン(カルボシステイン)の作用機序・授乳中服用できる?

 

妊娠・授乳中の使用

妊婦さんや授乳中の使用について製薬メーカーの説明書である「添付文書」より抜粋しました。

薬品名妊娠中授乳中
ムコダイン投与しないことが望ましい記載なし
クリアナール有益性が危険性を上回る場合にOK授乳を中止する

 

ムコダインとクリアナールの併用は?

「ムコダインとクリアナールの併用について」

薬局でも時々聞かれることがありますが、「あまり意味がない」というのが僕の考えです。

構造式の基本となる骨格は同じで、どちらも同じメカニズムで作用しますので、一緒に飲んだからといって去痰作用が強くなるわけではありません。

薬学的にはあまりオススメできない組み合わせです。