「AGA(エージーエー)」
「お医者さんに行きましょう」

のフレーズをCMで目にした方も多いかと思いますがAGAとは男性の脱毛症のことで、Androgenetic(男性ホルモン性) Alopecia(脱毛症)の略語です。

AGAに処方される内服薬、塗り薬について解説していきます。

男性型脱毛症(AGA)内服治療薬一覧

日本で男性型脱毛症に効能・効果を取得している内服薬はプロペシアザガーロの2種類です。

 プロペシアザガーロ
一般名フィナステリドデュタステリド
規格錠0.2mg
錠1mg
カプセル0.1mg
カプセル0.5mg
製薬メーカーMSDGSK
作用機序5α還元酵素II型阻害薬5α還元酵素I型・II型阻害薬
用法・用量1日1回0.2mg
MAX1mg 
食事の影響なし
1日1回0.1mg
MAX0.5mg 
食事の影響なし
副作用リビドー減退1.1%
勃起機能不全0.7%
276例中
リビドー減退5.8%
勃起不全5.0%
射精障害1.7%
120例中
ジェネリック医薬品ありなし
保険適応不可(自費診察)不可(自費診察)

 

男性型脱毛症(AGA)内服治療薬作用機序(プロペシア・ザガーロ)

プロペシアやザガーロがどのように薄毛を改善するのか?
作用機序(メカニズム)について解説していきます。

プロペシアやザガーロは髪の毛の成長期が短くなるのを抑えることで薄毛を改善します。

健康的なヘアサイクルは成長期(2~6年)・退行期(2週間)・休止期(3~4ヵ月)となっており、年を重ねると成長期が短くなることで薄毛がじわじわ進むと言われています。

成長期を短くさせる物質はジヒドロテストステロン(DHT)と呼ばれ、男性ホルモンであるテストステロンが5α還元酵素という酵素によって分解されることで生成されます。

プロペシア(一般名:フィナステリド)やザガーロ(一般名:デュタステリド)は5α還元酵素を阻害することで成長期を短縮させるジヒドロテストステロンの生成を抑え、薄毛を解消します

強さはプロペシアよりもザガーロ・作用機序の違い

製薬メーカーの実験で、24週間薬を服用した時の発毛量の変化は下記のとおりです。

変化量(単位:本)
頭頂部の直径2.54cm内での直径30μm以上の軟毛でない毛(非軟毛)が変化した本数

薬品名変化量
ザガーロ0.5mg89.6
ザガーロ0.1mg63.0
プロペシア1mg56.5
プラセボ-4.9

上記の図のように、プロペシアに比べて、ザガーロの方が発毛効果が高くなっています。

ザガーロの方が毛髪数を増加させる作用が強い理由は作用機序に違いがあるからです。

テストステロンをジヒドロテストステロンに分解する5α還元酵素には1型と2型が存在します。

プロペシアは5α還元酵素の2型をブロックするのに対して、ザガーロは1型と2型ともにブロックするといわれています。

上の図のようにザガーロは5α還元酵素をダブルでブロックすることから、2型しかブロックしないプロペシアに比べて発毛効果が高いと考えられているのです。

プロペシアよりザガーロの方が副作用頻度が高い

ザガーロの方がプロペシアに比べて発毛効果が高い分、副作用もザガーロの方が頻度が高くなっています。

性機能系の副作用の確率が高くなっていますので、子供を望む場合は服用を避けた方がよいでしょう。

男性型脱毛症(AGA)外用治療薬一覧(塗り薬)

 フロジン外用液リアップ(市販薬)
一般名カルプロニウム塩化物ミノキシジル
規格外用液5%外用液1%、5%
製薬メーカー第一三共大正製薬
作用機序血管拡張血管拡張
用法・用量脱毛症の場合
1日2〜3回適量を塗布
or被髪部全体にふりかけ軽くマッサージ
1日2回1回1ml脱毛部位に塗布
保険適応あり自費(市販薬)

脱毛症に保険適応のある塗り薬がフロジン外用液(一般名:カルプロニウム塩化物)です。

頭皮の血管を拡張させることで頭皮の血流をよくし、薄毛を改善するといわれています。

しかし日本皮膚科学会の男性型脱毛症診療ガイドライン(2010)ではフロジン外用液の推奨度は「C1:行うことを考慮してもいいが十分な根拠がない」に該当します。

一方で外用液でもっとも推奨度が高いのが市販薬のリアップ(一般名:ミノキシジル)です。

ガイドラインではミノキシジルの5%製剤が「A:行うように強く勧められる」に位置付けられています。