レストレスレッグス症候群は手足(特に足)に不快な感覚が現れ、足を動かしたくなる欲求が生じることで寝つきが悪くなる、夜中に目が覚めるといった睡眠障害がおこり日常生活に支障をきたす病気です。

「そわそわした」「絶え間なく動く」といったrestless(レストレス)からRestless Legs Syndrome(RLS)と名付けられています。

また足がむずむずすることから「むずむず脚症候群」とも呼ばれます。

レストレスレッグス症候群の治療薬の一つとして抗てんかん薬でもあるガバペン錠(一般名:ガバペンチン)が海外では用いられていましたが、吸収に個人差があることから、改良して個人差が少ないように開発されたのがレグナイト錠(一般名:ガバペンチンエナカルビル)です。

レストレスレッグス症候群の原因、治療薬であるレグナイト錠の作用機序や特徴について解説していきます。

レストレスレッグス症候群の原因

レストレスレッグス症候群は原因が明らかでない特発性、鉄欠乏性貧血や透析、リウマチ、パーキンソン病などが原因となる二次性に分類されます。

レストレスレッグス症候群の原因は明らかにはなっていませんが主に下記の3つの理由が挙げられます。

  1. 神経細胞の異常
    神経伝達物質の「ドパミン」がうまく働かなくなることで症状が現れる
  2. 鉄分不足
    ドパミンの生成に関与する鉄分不足でドパミン不足となるため
  3. 遺伝

レグナイト(ガバペチンエナカルビル)作用機序

レグナイト(ガバペチンエナカルビル)がなぜレストレスレッグス症候群に効果があるのか明確な作用機序は明らかになっていませんが下記の2点が関与していると考えられています。

  • 興奮性神経伝達物質が放出されるのを抑える
  • 抑制性神経伝達を増強させる

上記によって過剰な興奮を抑えレストレスレッグス症候群を改善させると考えられています。

細かいメカニズムをみていきます。

興奮性神経伝達物質を抑える
脳の神経細胞で「興奮」の情報が伝達される際に関与するのがCa2+(カルシウムイオン)です。

脳内では前シナプスから後シナプスに情報が伝達されるのですが、前シナプスにCa2+(カルシウムイオン)が流入すると興奮物質のグルタミン酸が放出されます。

レグナイト(ガバペチンエナカルビル)は服用後、体内で加水分解されガバペンチンに変換されます。

ガバペンチンはCa2+(カルシウムイオン)が脳細胞の前シナプスに入り込むのを防ぐことで、異常な興奮を抑えることができます。

抑制性神経伝達を増強させる
ガバペンチンは抑制性として働くGABA(γ-アミノ酪酸)の脳内量を増やすとともに、GABAが細胞内に取り込まれるのを促すことで抑制に働くGABA神経系を亢進させます。

このように「興奮を抑える」「抑制を増強する」ことによって異常な興奮を抑えレストレスレッグス症候群を改善させると考えられています。

ガバペンチンの詳しい作用機序はこちらに記載しています。

ガバペン(ガバペンチン)作用機序・副作用

副作用

レグナイト錠の主な副作用は下記のとおりです。
浮動性めまい30例(25.0%)、傾眠23例(19.2%)、悪心6例(5.0%) 
120例中(承認時)

車の運転は避ける

レグナイト錠を服用中は眠気が出る可能性が強いことから車の運転は避けなければいけません。

アルコール(お酒)の併用

レグナイト錠を服用中はお酒を飲んではいけません。

レグナイト錠は服用後、徐々に効いてくる徐放錠となっているのですがアルコールを摂取することで徐放が失われることが報告されているからです。