うつ病や、パニック障害、強迫性障害、社会不安障害、外傷後ストレス障害に処方される薬がパキシル錠(成分名:パロキセチン)です。

また2016年時点では保険適応外ですが月経前不快気分障害(PMDD)にも使われることがあります。

パキシルは選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)と呼ばれ、セロトニンが細胞内に取り込まれてしまうことを防ぎ、脳内のセロトニンの量を増やすことで、不安やうつ、パニックを抑えます。

パキシル作用機序・メカニズム

うつの状態では脳内の情報伝達物質であるノルアドレナリンセロトニンの働きが低下していると考えられています。

うつ病の原因は様々な仮説がありますが、ノルアドレナリンやセロトニンが低下している説をモノアミン仮説といわれます。

パキシル(パロキセチン)は脳内でのセロトニン量を増やし神経伝達を増強させる働きがあります。

具体的は作用機序を解説していきます。

神経細胞(前シナプス)からノルアドレナリンやセロトニンといった神経伝達物質が放出され、次の神経細胞(後シナプス)に情報を伝えていきます。

神経細胞(前シナプス)から放出されたノルアドレナリンやセロトニンの一部はトランスポーターと呼ばれるトンネルのようなものによって神経細胞(前シナプス)に回収されてしまいます。

パキシル(パロキセチン)はセロトニンが回収されるトランスポーターを阻害することで脳内のセロトニン濃度を上昇させ、うつなどを改善させる働きがあります。

パキシル(パロキセチン)はセロトニンに対する選択性が高いことから、選択的セロトニン再取り込み阻害薬SSRI: Selective Serotonin Reuptake Inhibitors)と呼ばれます。

パキシルの飲み方(用法・用量)

添付文書に記載のある用法・用量は下記のとおりです。

うつ病・うつ状態
成人には1日1回夕食後、パロキセチンとして20~40mgを服用します。1回10~20mgより開始し、原則として1週ごとに10mg/日ずつ増量し、1日40mgを超えないこととなっています。

パニック障害
成人には1日1回夕食後、パロキセチンとして30mgを服用します。1回10mgより開始し、1週ごとに10mg/日ずつ増量し1日30mgを超えないこととなっています。

強迫性障害
成人には1日1回夕食後、パロキセチンとして40mgを服用します。1回20mgより開始し、1週ごとに10mg/日ずつ増量し1日50mgを超えないこととなっています。

社会不安障害
成人には1日1回夕食後、パロキセチンとして20mgを服用します。投与は 1回10mgより開始し、1週ごとに10mg/日ずつ増量し1日40mgを超えないこととなっています。

外傷後ストレス障害
成人には1日1回夕食後、パロキセチンとして20mgを服用します。投与は1回10~20mgより開始し、1週ごとに10mg/日ずつ増量し1日40mgを超えないこととなっています。

パキシルの効果(改善率)

製薬メーカーのデータによると、

うつ・うつ病の場合、改善率は50.4%(229/454例)
パニック障害での改善率は60.2%(106/176例)
強迫性障害の有効率は50.0%(47/94例)

となっています。

パキシルの効果が出るまでの時間

一般的にはパキシル錠を飲み始めて、2週間くらいでじわじわと効きはじめるといわれています。
飲み始めは吐き気やムカツキなど消化器系の副作用が強く起こることがありますが徐々に軽くなってきます。

パキシルの副作用

パキシル錠の主な副作用は、傾眠 (23.6%)、嘔気(18.8%)、めまい(12.8%)、頭痛(9.3%)、肝機能検査値異常(8.4%)、 便秘(7.9%)となっています。

パキシルの副作用で太る?(体重増加)

1%未満の確率ですがパキシル錠で体重増加の副作用のが報告されています。

パキシルの離脱症状と期間

パキシルを突然中止したり減量すると、めまい、知覚障害(錯感覚、電気ショック様感覚、 耳鳴等)、睡眠障害(悪夢を含む)、不安、焦燥、興奮、意識障害、嘔気、振戦、錯乱、発汗、頭痛、 下痢等といった離脱症状があらわれることがあります。

離脱症状は服用を中止した後、数日以内に現れ、およそ2週間でよくなりますが、重症の場合や、軽度の場合でも回復までに2、3ヵ月以上かかることもあります。

自分の判断で服用をやめたり減らしたりは絶対にしないようにしましょう。

ジェネリック医薬品との違い


パキシル錠には薬価の安いジェネリック医薬品が存在します。

パロキセチン錠+メーカー名

の名前で販売されており、添加物に違いはありますが有効成分や効能・効果は全く同じとなっています。