非麻薬性の鎮咳薬(ちんがいやく)にフラベリック錠(一般名:ベンプロペリンリン酸塩)という薬があります。

フラベリック錠について作用機序や特徴、薬局で患者さんから聞かれる内容をまとめました。

作用機序(メカニズム)

フラベリック(ベンプロペリンリン)は咳中枢の興奮を抑えたり、気管支を広げる作用があります。

異物や病原体が体に入ると、脳の延髄にある「咳中枢」に信号が送られます。
信号がある一定以上の「閾値(いきち)」を超えると、咳中枢から「咳を出せ」と指令を出すのですが、フラベリック(ベンプロペリンリン)は咳中枢の「閾値(いきち)」を高めることで「咳を出せ」という指令を出しにくくするのです。

また気管支が収縮するのを抑える作用もあるのが特徴です。

原薬でしびれを感じるため粉砕しない

フラベリック錠は主薬が「しびれ」を感じることがありますので、フィルムコーティングされています。
そのため嚙み砕いたり、粉砕して服用するのは避けなければいけません。

聴覚異常(音感の変化)は副作用?

フラベリック(ベンプロペリンリン)を服用すると「音が低く感じる」などの音感の異常を感じることが報告されています。
聴覚異常の頻度は不明ですが、服用が終わると改善すると考えられます。

そのため音楽活動をされている方など「音感」に関わる仕事をされている場合には適さない鎮咳薬と考えられます。

眠気はでる?

フラベリック(ベンプロペリンリン)の副作用で「眠気」が0.1%〜5%未満の頻度で現れることがあります。

お酒(アルコール)との飲み合わせは?

フラベリック(ベンプロペリンリン)とお酒(アルコール)は「併用注意」とはなっていませんが、お酒による中枢抑制によって眠気やふらつきが強く現れる可能性があると考えます。

絶対にお酒を飲んではいけないわけではありませんが、念のため眠気やふらつきに注意するようにしましょう。

妊娠・授乳中の服用

妊婦さんについては「治療上の安全性が危険性を上回る場合にOK」とされています。

妊娠中の投与に関する安全性は確立していないので、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人に は、治療上の有益性が危険性を上まわると判断される場合にのみ投与すること。

引用元 フラベリック インタビューフォーム

授乳中については添付文書に注意書きはありません。

また海外の基準もないことから、授乳中の咳止めにはデータのあるメジコン(デキストロメトルファン)が処方される傾向にあります。

咳止めは使いすぎない方がいい?

日本呼吸器学会のガイドラインでは「中枢性の鎮咳薬はできる限り控えること」とされています。

咳は異物や病原体を排出するための防御反応であるからです。

しかし、咳によって体力が低下したり、肋骨が痛くなるなど日常生活に支障がでる場合には鎮咳薬が必要となります。

そのため主治医は患者さんの話から、必要な場合だけ咳止めを処方するのがセオリーとされていますので、咳が出ると訴えても咳止めを出してくれないケースがあります。

ジェネリック医薬品はある?

フラベリック錠は先発医薬品となっており、薬価の安いジェネリック医薬品は存在しません。