爪水虫に処方される外用薬にルコナック爪外用液5%(一般名:ルリコナゾール)という薬剤があります。
爪水虫専用の塗り薬は直接顕微鏡や培養などで「爪白癬」と確定診断された場合のみ処方されます。
そのため市販薬としては販売されておらず、医療機関で受診しないと処方してもらうことはできません。
ルコナック爪外用液の作用機序や使い方についてまとめました。
有効成分は「ルリコナゾール」・ルリコンとの違い
ルコナック爪外用液の有効成分はルリコナゾールで、1g中に50mg含まれています。
ルリコナゾールが有効成分の塗り薬としては従来から下記の薬剤が販売されています。
- ルリコン軟膏1%
- ルリコンクリーム1%
- ルリコン外用液1%
濃度が1%ですので1g(1ml)中に10mgのルリコナゾールが含まれ、
白癬、カンジダ、癜風に適応があり、爪白癬には適応はありません。
ルコナック爪外用液5%は従来のルリコンにより爪への浸透性と貯留性を高めて作られました。
有効成分のルリコナゾールの濃度をルリコンの5倍にし、水虫の原因菌の最小発育阻止濃度(MIC)を上回る濃度で爪の奥まで達し、爪水虫に効果を示すのがルコナック爪外用液5%です。
ルコナック作用機序
ルコナック爪外用液の有効成分である「ルリコナゾール」は真菌の細胞膜の構成成分であるエルゴステロールの合成を阻害します。
より細かく作用機序を解説します。
真菌の細胞膜の構成成分であるエルゴステロールは下記のように合成されます。
メバロン酸
↓
スクアレン
↓
ラノステロール
↓
エルゴステロール
エルゴステロールはメバロン酸からラノステロールを経て合成されます。
ラノステロールはエルゴステロール合成酵素(ラノステロール-14-α-デメチラーゼ)によって変換され最終的にエルゴステロールが作られます。
ルコナック(ルリコナゾール)はエルゴステロール合成酵素(ラノステロール-14-α-デメチラーゼ)の働きを抑えることで、真菌の細胞膜の構成成分であるエルゴステロールの合成を抑え抗真菌作用を示すのです。
人間の細胞膜に「エルゴステロール」は存在しないことから人の細胞を傷つけず、真菌のみに作用するのが特徴です。
ルコナック使い方・塗り方
ルコナック爪外用液は1日1回使用します。
皮膚が清潔な状態で塗るのがよいため、入浴後が推奨されています。
一般的な使い方について説明します。
※主治医・かかりつけの薬剤師の指導どおりに使用してください。
- 患部の水気や汗などを拭き取ります
- 容器を上にして先端部分を指で数回押します
(空気を抜くため) - 容器を直接爪に1回押し当てると薬剤がでてきます
- 1回プッシュ分を容器で爪全体に塗り伸ばします
薬剤が足りない場合はもう1回プッシュする - 爪と皮膚の間にも1回プッシュして塗り伸ばします
- 皮膚についた液はティッシュや綿棒で拭き取ります
爪が伸びた状態だと、皮膚と爪の隙間にしっかり浸透しないため、爪はこまめに切っておきましょう。
ただし無理に切りすぎるのは新しく伸びる爪が変形するので避けてください。
効かない?
ルコナックの販売メーカーの資料によると、48週間後の治癒率は14.9%(29/194例中)となっています。
そのため「効かない」と訴える患者さんもいらっしゃいます。
特に爪水虫治療は爪が生え変わるまで治療が必要ですので、根気よく薬を塗り続ける必要があります。
医師の指示で処方される限りは、気長に治療を続けるようにしましょう。
日常生活の注意点
- 足は清潔にする(足の隙間まで石鹸でしっかり洗う)
- 乾燥させる
- 通気性のよい靴下・靴を選ぶ
- 靴下は5本指がよい
- タオルやバスマットなど家族・友達との共有に注意