水虫はカビの一種である真菌が原因となります。

水虫やカンジダ症に処方されるのが抗真菌薬のペキロンクリーム(一般名:アモロルフィン塩酸塩)です。

ペキロンクリームについて作用機序や、塗り方、患者さんから聞かれる質問を中心に解説していきます。

効能・効果

ペキロンクリームの効能・効果は下記のとおりです。
下記の疾患の際に、保険で処方することが可能です。

  • 白癬(足白癬、手白癬、体部白癬、股部白癬)
  • 皮膚カンジダ症(指間びらん症、間擦疹(乳児寄生菌性紅斑を含む)、爪囲炎)
  • 癜風(読み方:でんぷう)

白癬とはカビの1種である「真菌(しんきん)」が原因で起こります。
足に真菌が感染するのが「水虫」、陰部(股部)に真菌が感染するのが「いんきんたむし」、体部に真菌が感染するのが「ぜにたむし」です。

カンジダ菌は人間に元々住み付く菌で免疫低下や、抗生物質を内服した時などにカンジダ症として現れます。

癜風(読み方:でんぷう)とは癜風菌という人の皮膚に元々ある常在菌が原因となります。

作用機序(メカニズム)

ペキロンクリームの有効成分である「アモロルフィン塩酸塩」は真菌の細胞膜の構成成分であるエルゴステロールの合成を阻害します。

より細かく作用機序を解説します。

真菌の細胞膜の構成成分であるエルゴステロールはざっくりと下記のように合成されます。

メバロン酸

スクアレン

ラノステロール

エルゴステロール

エルゴステロールはメバロン酸からラノステロールを経て合成されます。

ラノステロールからエルゴステロールに変換されるまでいくつか過程があるのですが、その際に必要となる2つの酵素(14-レダクターゼ8-△7-イソメラーゼ)をペキロン(アモロルフィン)が阻害します。

そのため真菌の細胞膜の構成成分であるエルゴステロールの合成を抑え抗真菌作用を示すのです。

人間の細胞膜に「エルゴステロール」は存在しないことから人の細胞を傷つけず、真菌のみに作用するのが特徴です。

水虫での塗り方・使い方

足の水虫にペキロンクリームが処方された場合の塗り方について説明します。

ペキロンクリームは1日1回で充分に効果を発揮する薬剤です。

塗るタイミングは足が清潔な状態でかつ薬の吸収がよくなる入浴後が最も適しています。

症状がでている場所以外にも水虫の原因菌が付いている可能性があるため、両足全体に塗るのが基本的な使い方となります。

症状のない指、足の裏にも塗ることが推奨されています。

上記方法はあくまで一般的な塗り方ですので、主治医からの指示に従うようにしましょう。

効かない?

「ペキロンを使っているけどなかなか治らない」
といった相談を受けることがあります。

製薬メーカーの発表しているペキロンの著効率、有効率は下記のとおりです。

疾患著効率 有効率 
足白癬50.479.1 
手白癬58.3 83.3 
体部白癬58.9 85.3 
股部白癬64.9 91.9 
カンジダ症
間擦疹
56.9 86.2 
癜風80.4 92.8 

単位は%
ペキロンクリーム0.5%を4週間(足白癬、手白癬)2週間(体部白癬、股部白癬、間擦疹、癜風)1日1回患部に塗布した場合の値。

生活の注意点

水虫治療中の日常生活の注意点をピックアップします。

  • 毎日足はせっけんで洗う
  • 靴や靴下は通気性のよいものを選ぶ
  • 医師の指示があるまで薬をやめない
  • 家族・友人とタオル・マット・スリッパなどの共有を避ける