水虫やカンジダに処方される抗真菌薬がアトラント(一般名:ネチコナゾール塩酸塩)です。

アトラントについて規格や作用機序、水虫で処方された際の日常生活の注意点を解説していきます。

アトラント有効成分・規格

アトラントシリーズには下記の3つの規格があります。

  • アトラント軟膏1%
  • アトラントクリーム1%
  • アトラント外用液1%

それぞれ1g(ml)中に有効成分であるネチコナゾール塩酸塩が10mg含有されています。

効能効果は白癬・カンジダ・癜風

アトラントの効能効果は下記のとおりです。

  • 白癬:足白癬、体部白癬、股部白癬
  • 皮膚カンジダ症:指間びらん症、間擦疹
  • 癜風(でんぷう)

 

白癬菌はカビの一種で足白癬は水虫、体部白癬はゼニタムシ、股部白癬はインキンタムシと呼ばれます。

皮膚カンジダ症は、カンジダというカビの一種が原因となり、陰部わきの下など通気性の悪い場所で発症します。

アトラント作用機序

アトラントの有効成分である「ネチコナゾール塩酸塩」は真菌の細胞膜の構成成分であるエルゴステロールの合成を阻害します。

より細かく作用機序を解説します。

真菌の細胞膜の構成成分であるエルゴステロールは下記のように合成されます。

メバロン酸

スクアレン

ラノステロール

エルゴステロール

エルゴステロールはメバロン酸からラノステロールを経て合成されます。

ラノステロールはエルゴステロール合成酵素ラノステロール-14-α-デメチラーゼ)によって変換され最終的にエルゴステロールが作られます。

アトラント(ネチコナゾール)はエルゴステロール合成酵素(ラノステロール-14-α-デメチラーゼ)の働きを抑えることで、真菌の細胞膜の構成成分であるエルゴステロールの合成を抑え抗真菌作用を示すのです。

人間の細胞膜に「エルゴステロール」は存在しないことから人の細胞を傷つけず、真菌のみに作用するのが特徴です。

また薬が高濃度になると、直接細胞膜を攻撃する働きもあります。

日常生活の注意点

水虫治療中の日常生活の注意点をピックアップします。

  • 毎日足はせっけんで洗う
  • 靴や靴下は通気性のよいものを選ぶ
  • 医師の指示があるまで薬をやめない
  • 家族・友人とタオル・マット・スリッパなどの共有を避ける

 

水虫治療のポイントは「根気よく続けること」です。
症状がよくなったからといって自己判断で中断してしまうと、再発するケースが高くなりますので、
主治医から指示がある限りは薬を塗り続けなければいけません。