寝つきが悪い時などの不眠症の際に処方される睡眠薬がマイスリー(成分名:ゾルピデム酒石酸塩)です。

マイスリーはゾルピデム酒石酸塩が5mgと10mg入った2つの規格が販売されています。

マイスリー10

出典 アステラス製薬

 

マイスリーを服用中の患者さんから

「ジェネリック医薬品は効かない?」
「依存性はあるの?」
「お酒は一緒に飲んでいい?」
「授乳中だけど大丈夫?」

といった質問を受けることがあります。

マイスリーについて薬局で患者さんから聞かれる質問を中心にまとめてみました。

ジェネリック医薬品(後発医薬品)との違い

マイスリーは多くのジェネリック医薬品が存在します。

ゾルピデム酒石酸塩+メーカー名が薬の名前になっていてトーワ薬品ファイザーサワイ製薬などから発売されています。

有効成分はジェネリック医薬品もマイスリーも全く同じですが添加物やデザインが異なるため、ジェネリック医薬品に変更して効き目が悪くなったと訴える患者さんもいらっしゃいます。

特に睡眠薬は思い込みによって効き方が左右されることもありますので

ジェネリック=効かない

と思い込んでいる患者さんは効き目を感じにくい印象を受けます。

効果・tmaxと半減期・持続時間

マイスリーを飲み始めてどれくらいの時間で効果があるのか?

また持続時間について解説します。

薬を飲み始めて最大血中濃度に達する時間をtmax(ティーマックス)といいます。

規格Tmax
5mg0.8±0.3
10mg0.8±0.3

 

マイスリーの5mgを服用した場合、15分~30分ほどで効きはじめ、およそ0.8時間(50分ほど)で血中のマイスリーの濃度が最大になります

最大血中濃度に達したあと、半分ずつの濃度に分解される時間を半減期またはt1/2(ティーハーフ)というのですが、マイスリーの5mgの半減期はおよそ2時間となっています。

規格T1/2
5mg2.06±1.18
10mg2.30±1.48

 

半減期が2時間ということはイメージとして、薬が最大濃度に達した後に2時間ごとに身体の中のマイスリーが半分ずつ減っていきます。

持続時間はおよそ6時間~8時間といわれています。

マイスリーは超短時間型といって睡眠薬の中で一番短い分類に位置づけられています。

依存性・離脱症状

一番よく聞かれる質問が

「マイスリー(ゾルピデム)をずっと飲んで依存性はある?」
「癖にならない?」

という依存性に関することです。

ほとんどの睡眠薬はベンゾジアゼピン系と呼ばれる構造をしており、ハルシオンやロヒプノールなどのベンゾジアゼピン系の睡眠薬は依存性が問題となります。

しかしマイスリーは非ベンゾジアゼピン系に分類され他の睡眠薬に比べ依存性は少ないとされています。

全く依存性がないわけではありませんので必要以上の服用は避けなければいけません。

また毎日服用していて急に中止をすると、不眠症状が悪化したりイライラ感が出る離脱症状が現れることがあります。

毎日コンスタントに服用している場合は、急に辞めるのでなく徐々に服用を中止しなけばいけません。

アルコール(お酒)との飲み合わせ

マイスリーを服用中にお酒を飲んでいい?

患者さんから聞かれることが多くあります。

製薬メーカーの説明書では、マイスリーを服用中はできる限り飲酒を避けることとなっています。

お付き合い程度の飲酒であれば問題ありませんが、お酒を飲んだ際は特にふらつきに注意するようにしましょう。

精神機能・知覚・運動機能等の低下が増強することがあるので、できるだけ飲酒を控えさせること。

 

アルコールはGABAA 受容体に作用すること等により中枢神経抑制作用を示すため、併用により相互に中枢神経抑制作用を増強することがある

引用元 マイスリー添付文書

 

副作用

マイスリーの副作用ですが、

主な副作用は、ふらつき、眠気、頭痛、倦怠感、ムカツキとなっています。

総症例1,102例(統合失調症及び躁うつ病に伴う不眠症を含む)中、副作用(臨床検査値の異常変動を除く)は190例(17.2%)に348件報告され、主な副作用は、ふらつき44件(4.0%)眠気38件(3.4%)頭痛31件(2.8%)倦怠感31件(2.8%)残眠感29件(2.6%)悪心23件(2.1%)等であった。

引用元 マイスリーインタビューフォーム

夢遊症状・前向性健忘の副作用

マイスリーを服用した後、

「知らない間に友人にメールを送っていた」
「夜中、意識がないまま食べ物を食べていた」
「気づかない間に家の中を歩き回っていた」

など記憶がないままこのような行動をとってしまうことを夢遊症状(むゆうしょうじょう)といいます。

マイスリーでも頻度は不明ですが夢遊症状が副作用として報告されておりますので、夢遊症状が現れたらすぐに主治医に相談するようにしましょう。

また一過性前向性健忘(いっかせいぜんこうせいけんぼう)といって、マイスリーを服用してから睡眠までの間や途中で目が覚めた時のことを覚えていないことがあります。

前向性健忘を防止するためにもマイスリーを服用したらすぐに布団に入ることを心掛けてください。

また家族やパートナーの方はマイスリーを服用している方を睡眠中に起こさないように注意しましょう。

妊娠・授乳中の服用

妊婦さんの場合は「安全性が危険性を上回る場合に投与OK」となっています。

妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。妊娠後期に本剤を投与された患者より出生した児に呼吸抑制、痙攣、振戦、易刺激性、哺乳困難等の離脱症状があらわれることがある。なお、これらの症状は、新生児仮死として報告される場合もある。]

引用元 マイスリーインタビューフォーム

妊娠を希望する場合は、事前に主治医に伝えるようにしましょう。

また授乳中の場合、製薬メーカーの説明書では「授乳を避けること」となっています。

授乳中の婦人への投与は避けることが望ましいが、やむを得ず投与する場合は、授乳を避けさせること。(母乳中へ移行することが報告されており、新生児に嗜眠を起こすおそれがある。)

引用元 マイスリーインタビューフォーム

一方で大分県の産婦人科医会、小児科医会、薬剤師会での研究チームによると「服用後3時間あければより安全」とされています。

半減期は短く、代謝産物に活性はない。服用後3時間あければより安全。

引用元 大分県「母乳と薬剤」研究会