ビタミンC(アスコルビン酸)が単独で入った薬がハイシー顆粒です。
ハイシー顆粒について作用機序や特徴、薬局で患者さんから聞かれる質問をまとめました。
有効成分
ハイシー顆粒は1g中に有効成分のアスコルビン酸を250mg含有しています。
効能・効果
ハイシー顆粒の効能・効果は下記の通りです。
下記の疾患の時に保険での処方が可能となります。
○ビタミン C欠乏症の予防及び治療
(壊血病、メルレル・バロー病)
○ビタミン C の需要が増大し、食事からの摂取が不十分な際の補給
(消耗性疾患、妊産婦、授乳婦、はげしい肉体労働など)
○下記疾患のうち、ビタミン C の欠乏又は代謝障害が関与すると推定される場合
・毛細管出血(鼻出血、歯肉出血、血尿など)
・薬物中毒
・副腎皮質機能障害
・骨折時の骨基質形成・骨癒合促進
・肝斑・雀卵斑・炎症後の色素沈着
・光線過敏性皮膚炎
作用機序(メカニズム)
アスコルビン酸には主に下記の作用があります。
- コラーゲンの生成(皮膚・骨・歯・血管)
- 毛細血管を増強し出血を改善
- 薬物中毒に作用(アルコール・ニコチン)
- ステロイドホルモン(副腎皮質ホルモン)の生合成促進
- メラニン色素の生成を抑制
コラーゲンの生成
アスコルビン酸はコラーゲンの生成で補酵素(酵素の働きを補う酵素)として関わります。
そのためアスコルビン酸が不足すると皮膚や骨、歯、血管が弱くなってしまいます。
出血防止作用
アスコルビン酸は毛細血管を強くする作用があります。
アスコルビン酸が欠乏すると血液を凝固させる血小板が減少し、出血時に血が固まるまでの時間が長くなってしまいます。
薬物中毒(アルコール・タバコ)
アルコール中毒になるとアスコルビン酸の欠乏が起こります。
またタバコ(ニコチン)を吸うと、アスコルビン酸が多く存在する副腎皮質からのホルモンが分泌されることからアスコルビン酸の消費量が増えてしまいます。
ステロイドホルモン(副腎皮質ホルモン)の生合成
アスコルビン酸は副腎皮質に多く存在し、ステロイドホルモンの生合成の促進に関与しています。
そのためアスコルビン酸欠乏による副腎皮質の機能障害にも処方されます。
メラニン生成抑制(シミ・そばかす)
アスコルビン酸はしみやそばかすの原因となるメラニンの生成を抑える作用があります。
飲み方(食後?食前?)
ハイシー顆粒の用法・用量は下記の通りです。
アスコルビン酸として、通常成人1日50〜2,000mg(本剤として0.2〜8g)を1〜数回に分けて経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
ハイシー顆粒は食後、食前に関係なく処方されますが、飲み忘れや胃腸障害の副作用の防止のために食後に処方されることが多いです。
市販薬のハイシープラスとの違い
アスコルビン酸の入った市販薬にハイシープラスがあります。
ハイシープラスは噛み砕くチュアブル錠になっています。
薬品名 | 1日量有効成分 |
---|---|
ハイシー顆粒 | ビタミンCとして2000mg |
ハイシープラス | ビタミンCとして2000mg +リボフラビン酪酸エステル(ビタミンB2) |
1日最大のビタミンCの量は同じですが、市販薬のハイシープラスには脂肪の代謝を助け皮膚や粘膜の機能維持に関わるビタミンB2がプラスで配合されています。
シナールとの違い
アスコルビン酸が入った医療用医薬品にシナール配合顆粒があります。
有効成分の違いは下記の通りです。
薬品名 | 1g中有効成分 |
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ハイシー顆粒 | アスコルビン酸250mg |
シナール配合顆粒 | アスコルビン酸200mg パントテン酸カルシウム3mg |
1g中のアスコルビン酸の量はハイシー顆粒の方が50mg多く入っています。
一方でシナール配合顆粒はアスコルビン酸の吸収量を増やすパントテン酸カルシウムが少量入っています。
妊娠・授乳中に服用可能?
ハイシー顆粒は妊婦さんや授乳中でも問題なく服用のできる薬とされています。
ジェネリック医薬品は販売されている?
ハイシー顆粒は先発医薬品です。
ハイシー顆粒のジェネリック医薬品は存在しません。