「爪に水虫ができているのだけど塗り薬はありますか?」
私がドラッグストアで薬剤師をしている時によく聞かれた質問です。
以前は、爪水虫は飲み薬(内服薬)でしか治療はできず、肝臓に負担がかかったり、薬の飲み合わせが問題となってくることから、塗るタイプの爪水虫薬が開発されました。
爪水虫治療薬の外用タイプについて、
「どんな薬があるのか?」
「完治はするのか?」
「効かないことあるの?」
「使い方は?」
など、患者さんからよく受ける質問をまとめてみました。
爪白癬外用剤の種類・一覧
現在日本で爪水虫治療に使用できる塗り薬はクレナフィン爪外用液10%とルコナック爪外用液5%になります。どちらも医療用医薬品となり、病院の受診が必要となります。
2017年時点で、爪水虫の薬は市販では売っていません。
クレナフィン爪外用液10%(成分名:エフィナコナゾール)
科研製薬から発売されており、1g中にエフィナコナゾールが100mg含有されています。
ルコナック爪外用液5%(成分名:ルリコナゾール)
ポーラファルマから発売されており、1g中にルリコナゾールが50㎎含有されています。
効能・効果
クレナフィン爪外用液とルコナック爪外用液の効能・効果はまったく同じで下記の通りになっています。
<適応菌種> 皮膚糸状菌(トリコフィトン属)
<適応症> 爪白癬
となっています。爪以外の水虫には処方はできません。手や足の爪のみの適応となります。
塗り方・使い方
どちらの薬も1日1回塗布します。患部が清潔な状態で塗らなけれないけませんので、お風呂あがりに塗るのをオススメします。爪と皮膚の境目に塗るようにしなければいけません。
完治はするの?効かないの?
製薬メーカーが実施した臨床試験でのデータでは、クレナフィン爪外用液の完全治癒率17.8%、ルコナック爪外用液の完全治癒率14.9%となっています。
決して高い数値ではないので「クレナフィンは効かない」「ルコナックは効かない」といった声もあり単独ではなかなか効きにくいように感じています。
保存方法(冷蔵庫?室温?)
開封しても室温で保存しましょう。特に冷蔵庫に入れる必要はありません。直射日光はさけて引き出しの中などに保管してください。
使用上の注意点
使用上の注意点についてまとめてみました。
少し長いですが、正しく使用しないと効果が減弱し治療が長引く原因となりますので、しっかり頭にいれておきましょう。
・新しい爪が伸びてこない限り、一旦変色した爪所見を回復させるものではない。このため、治療には相応の期間(爪が生えかわるまでの期間)が必要になること。
・爪白癬の原因菌は爪甲及びその下の皮膚に存在するため、この部位に薬剤が行きわたるよう皮膚との境界部も含め爪全体に十分に塗布し、周囲の皮膚に付着した薬剤は拭き取ること。
・適用部位周辺に傷口がある場合には注意して使用すること。
・爪白癬の罹患爪以外には使用しないこと。
・必要に応じてやすりや爪切り等で罹患爪の手入れを行うこと。
・治療中の爪には化粧品等を使用しないこと。
・眼科用として角膜、結膜には使用しないこと。誤って眼に入った場合には、直ちによく水洗すること。
・保存及び使用の際には火気を避けること。