葉酸(folic acid)はビタミンMやビタミンB9と呼ばれ水溶性のビタミンBに属します。
葉酸の入った医療用医薬品がフォリアミン錠です。
フォリアミン錠はリウマチ治療薬のリウマトレックス(一般名:メトトレキサート)と併用で処方されることが多くあります。
フォリアミン錠の特徴や作用機序、リウマトレックス(メトトレキサート)と併用する理由や併用間隔についてまとめました。
フォリアミンの葉酸含有量
フォリアミン錠は1錠あたり葉酸を5mg(5000μg)含有しています。
効能・効果
フォリアミンの効能・効果は下記の通りです。
1.葉酸欠乏症の予防及び治療
2.葉酸の需要が増大し、食事からの摂取が不十分な際の補給(消耗性疾患、妊産婦、授乳婦等)
3.吸収不全症候群(スプルー等)
4.悪性貧血の補助療法
5.下記疾患のうち、葉酸の欠乏又は代謝障害が関与すると推定される場合
●栄養性貧血
●妊娠性貧血
●小児貧血
●抗けいれん剤、抗マラリア剤投与に起因する貧血
6.アルコール中毒及び肝疾患に関連する大赤血球性貧血
7.再生不良性貧血
8.顆粒球減少症
作用機序(メカニズム)
葉酸は核酸(DNA)の生成に関わる栄養素で、体の組織細胞の発育や機能を正常に保つために不可欠です。
葉酸は体内でテトラヒドロ葉酸(THF)に変換されて効果を発揮します。
特に骨髄で赤血球の正常形成に必須で、葉酸が欠乏することで巨赤芽球症といって赤血球のできそこないが増えて「貧血」となってしまいます。
リウマトレックス(メトトレキサート)とフォリアミンの併用理由
抗リウマチ薬のリウマトレックス(メトトレキサート)とフォリアミンが併用されるケースが多くあります。
リウマトレックス(メトトレキサート)は葉酸の働きを阻害することで効果を発揮するため、リウマトレックス(メトトレキサート)による口内炎や肝機能障害、下痢などの副作用防止目的でフォリアミンが投与されることがあります。
葉酸は下記のように体内でテトラヒドロ葉酸(THF)に変換されて活性を示します。
- 葉酸
↓ - ジヒドロ葉酸(DHF)
↓ - テトラヒドロ葉酸(THF)
リウマトレックス(メトトレキサート)はDHTをTHFに変換するジヒドロ葉酸レダクターゼを阻害することでテトラヒドロ葉酸(THF)の生成を抑え、葉酸の働きを抑えてしまいます。
葉酸の働きが抑えられることで起こる副作用を防止するためにフォリアミンが併用されるのです。
リウマトレックス(メトトレキサート)とのフォリアミンの併用間隔
通常はリウマトレックス(メトトレキサート)を服用して24~48時間後にフォリアミンを服用します。
24~48時間間隔をあけて服用する理由ですが、間隔が短くなりすぎると、リウマトレックス(メトトレキサート)やフォリアミン(葉酸)の効果を弱めてしまうからです。
フォリアミンを週1回服用することがスタンダードになっていますが、海外ではフォリアミンを毎日投与するケースもあります。
食事からの葉酸は制限する?
「フォリアミンを服用中は葉酸が入った食品は避けたほうがいい?」
薬局で時々質問を受けますが、フォリアミン服用中に枝豆やほうれん草、レバーなど葉酸を多く含む食品を特別避ける必要はありません。
食事からの摂取はフォリアミンに比べるとごく少量のためです。
サプリメントなど葉酸の入った健康食品の摂取については、自己判断での服用を避けて主治医に相談するようにしましょう。