風邪や膀胱炎、抜歯後に歯科で処方される抗生物質がフロモックス錠(成分名:セフカペンピボキシル)です。
フロモックス(成分名:セフカペンピボキシル)はセフェム系抗生物質として、細菌にある細胞壁が作られるのを阻害することで殺菌作用を示します。
人間には細胞壁がないことから細菌のみに作用するのが特徴です。
フロモックスについて薬局で患者さんからよく聞かれる質問を中心にまとめてみました。
フロモックス錠の有効成分
フロモックス錠100mgにはセフカペンピボキシル塩酸塩水和物が100mg、フロモックス錠75mgにはセフカペンピボキシル塩酸塩水和物が75mg含有されています。
フロモックス錠のジェネリック医薬品
フロモックス錠は100mgも75mgも共に下記の6種類がジェネリック医薬品として存在します。
- セフカペンピボキシル塩酸塩錠「日医工」
- セフカペンピボキシル塩酸塩錠「サワイ」
- セフカペンピボキシル塩酸塩錠「トーワ」
- セフカペンピボキシル塩酸塩錠「TCK」
- セフカペンピボキシル塩酸塩錠「ファイザー」
- セフカペンピボキシル塩酸塩錠「CH」
先発品のフロモックスと比べて、添加物は異なりますが、有効成分は全く同じとなっています。
効能・効果
フロモックスが効く細菌と適応症についてピックアップします。
適応菌
セフカペンに感性のブドウ球菌属,レンサ球菌属,肺炎球菌,淋菌,モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス,大腸菌,シトロバクター属,クレブシエラ属,エンテロバクター属,セラチア属,プロテウス属,モルガネラ・モルガニー,プロビデンシア属,インフルエンザ菌,ペプトストレプトコッカス属,バクテロイデス属,プレボテラ属(プレボテラ・ビビアを除く),アクネ菌
適応症
表在性皮膚感染症,深在性皮膚感染症,リンパ管・リンパ節炎,慢性膿皮症
外傷・熱傷及び手術創等の二次感染,乳腺炎,肛門周囲膿瘍
咽頭・喉頭炎,扁桃炎(扁桃周囲炎,扁桃周囲膿瘍を含む),急性気管支炎,肺炎,慢性呼吸器病変の二次感染
膀胱炎,腎盂腎炎
尿道炎,子宮頸管炎
胆嚢炎,胆管炎
バルトリン腺炎,子宮内感染,子宮付属器炎
涙嚢炎,麦粒腫,瞼板腺炎
外耳炎,中耳炎,副鼻腔炎
歯周組織炎,歯冠周囲炎,顎炎
用法・用量(飲み方)
通常、成人にはセフカペンピボキシル塩酸塩水和物として1回100mg(フロモックス錠100mg)を1日3回服用します。
難治性又は効果不十分の場合は1回150mg(フロモックス錠75mgを2錠)を1日3回服用します。
フロモックスは時間依存型抗菌薬と呼ばれ、1日の投与回数を分けて服用した方が効果の発揮する抗菌薬です。
そのため1日分を2回に分けて服用するよりも3回に分けて服用する方が効果を発揮します。
有効率(効果がある確率)
製薬メーカーが発表している一般細菌に対する有効率は下記のようになっています。
通常用量で,成人84.9%(1070例/1261例),小児95.6%(240例/251例)
妊娠中の使用
フロモックス(セフカペンピボキシル)はメーカーの説明書(添付文書)では「治療の有益性が危険性を上回る場合だけ投与OK」となっています。
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。また、妊娠後期にピボキシル基を有する抗生物質を投与された妊婦と、その出生児において低カルニチン血症の発現が報告されている]
引用元 フロモックスインタビューフォーム
授乳中の使用
フロモックス(セフカペンピボキシル)の授乳中の服用について添付文書に注意書きもなく「授乳を中止することなく服用してOK」と指導されるケースが多くあります。
実際に医療現場では、フロモックス(セフカペンピボキシル)が授乳中に処方される頻度の高い抗菌薬です。
お酒(アルコール)との飲み合わせ
フロモックス(セフカペンピボキシル)はお酒(アルコール)とは併用注意などの指定もなく、特に飲み合わせには問題ありません。
しかし、感染がある時や風邪の時はアルコールの大量摂取は控えた方がいいため、最低限におさえておきましょう。
副作用・下痢した場合は?
主な副作用(0.1 ~ 3%の確率)は下痢、腹痛、胃不快感、胃痛、嘔気、といった消化器症状、ALT(GPT)上昇、AST(GOT)上昇、 LDH上昇といった肝機能障害、発疹です。
腸内細菌のバランスが崩れることで下痢になることがあります。
水のような下痢になった場合は主治医や薬剤師に相談してください。
また発疹がでた場合は直ちにストップして主治医や薬剤師に相談してください。
市販薬では売ってる?
フロモックス錠の有効成分である「セフカペンピボキシル」の入った市販薬は販売されていません。
抗菌薬は耐性菌が発現する問題もありますので医療機関を受診して処方してもらうようにしましょう。