腎臓の機能が落ちた慢性腎不全患者さんは、食事によって吸収されたP(リン)が腎臓から排泄されにくくなるため、血液中のリンの濃度が高くなってしまいます。
P(リン)はCa(カルシウム)と一緒に骨を作ったり、筋肉を作る上で必要なミネラルです。
しかし血液中にリンがたまり「高リン血症」になると副甲状腺ホルモンが過剰に分泌され、二次性副甲状腺機能亢進症となり骨が弱くなったり、血管が石灰化することで心筋梗塞や、脳梗塞など引き起こす可能性がでてきます。
透析をしてもリンの除去が不十分であることから、食事からリンの吸収を抑える薬が処方されます。
リン吸収抑制薬にレナジェルやフォスブロックという薬があります。
どちらも同じセベラマー塩酸塩という有効成分で別々の製薬メーカーから販売されています。
レナジェル・フォスブロックについて作用機序や飲み方について解説していきます。
作用機序(メカニズム)
レナジェル・フォスブロックは食物中のリンに吸着し、便からリンを排泄させることで、血液中に吸収されるリンを低下させます。
飲み方・食直前に服用の理由
レナジェル・フォスブロックは食直前に服用します。
食直前とは食事の5〜10分前のことをいいます。
口の中に長く含んでいると膨潤することがあるため、口に入れたあとは早く服用しなくてはいけません。
また口の中で噛み砕かず、水かぬるま湯で流し込むようにしましょう。
食直前に服用する理由ですが、作用機序からもわかるように、食物中のリンを吸着する薬であることから食事を摂る時間から間隔があいてしまうと、薬の効果が十分に発揮されないためです。
飲み忘れた場合の対応
食直前に飲み忘れて、食事中や食事の直後(5分〜10分前後)に気づいた場合は、すぐに服用して問題ないとなっています。
食事をして時間がたった場合は、1回分を飛ばし、次回分から正しい量で服用することとされています。
主治医から特別指示がある場合はそちらを優先するようにしましょう。
便秘・腹部膨満感(お腹がはる)副作用
レナジェル・フォスブロックを服用すると高い確率で便秘になったり、お腹がはるといった腹部膨満感が報告されています。
透析患者さんは水分制限があることから便秘をしやすい状態になっていることもありますが、薬によっても便秘を誘発する可能性があります。
ひどい場合は腸閉塞になるケースも報告されているため、毎日の排便状況(回数・色・形状)を確認し、便秘やお腹の張りがひどい場合は主治医に相談するようにしましょう。