高血圧や浮腫に処方される利尿薬にアルダクトン(一般名:スピロノラクトン)という薬剤があります。

アルダクトン(スピロノラクトン)はカリウム保持性利尿剤といわれ、カリウムの血中濃度を低下させずに、体内の余分な水分を排泄させます。

アルダクトン(スピロノラクトン)の作用機序や特徴について解説していきます。

作用機序(メカニズム)

アルダクトン(スピロノラクトン)は腎臓でナトリウムや水の再吸収を抑えることで、余分な水分を体から排泄させます。

具体的にどのように作用するのか解説していきます。

腎臓の尿細管は大きく下記の4つに分類されます。

  • 近位尿細管
  • ヘンレループ
  • 遠位尿細管
  • 集合管

アルダクトン(スピロノラクトン)が作用するのは遠位尿細管です。

遠位尿細管にはアルドステロンというホルモンが結合するアルドステロン受容体があります。

アルドステロンがアルドステロン受容体に結合すると、Na(ナトリウム)や水分が血液中に再吸収され、代わりにK(カリウム)が排泄されます。

アルダクトン(スピロノラクトン)はアルドステロンがアルドステロン受容体に結合するのを邪魔する作用があるため、水分が血液中に再吸収されるのを抑え、尿から水分を排泄させるのです。

余計な水分を体から排泄することで体の中の循環血量が低下し血圧が低下するのです。

糖・尿酸値・電解質への影響

アルダクトン(スピロノラクトン)を服用すると、血液中のナトリウムやカリウム、カルシウムは下記のように変化することがあります。

なお、他の利尿薬で見られるような尿酸、血糖、コレステロールの上昇は見られません。

項目影響
Na下げる
K上げる
Ca下げる
変化なし
TG
中性脂肪
変化なし
LDL
悪玉コレステロール
変化なし
HDL
善玉コレステロール
変化なし
尿酸変化なし

 

効果発現時間・最大効果発現時間・効果持続時間

作用発現時間・・48〜96時間
最大効果発現時間・・48〜72時間
効果持続時間・・48〜72時間

副作用で胸の張り・生理不順

アルダクトン(スピロノラクトン)は性ホルモンにも作用してしまうことがあるため、男性の場合は女性化乳房といって胸が張った感じになったり、女性の場合は月経不順になることがあります。

薬を中止すると元に戻る副作用ですので、気になる症状が現れた場合は、早めに主治医に相談するようにしましょう。

皮膚科でニキビにも処方されるケースがある

皮膚科や美容皮膚科で、ニキビに処方されるケースがあります。

アルダクトン(スピロノラクトン)は男性ホルモンがレセプターに結合するのを邪魔する働きがあるため、男性ホルモンの働きを抑えるためです。

他のニキビ治療薬で効果が見られない場合や、男性ホルモンが原因と考えられる成人女性に処方される傾向にあります。

ニキビには効能・効果を取得していないため、基本的には自費扱いで処方されます。

自己判断で服用するととても危険ですので、必ず医師の指示のもと服用するようにしましょう。