パーキンソン病治療薬でレボドパ賦活薬として処方されるのがトレリーフ錠(一般名:ゾニサミド)です。
ゾニサミドは元々、エクセグランという抗てんかん薬として開発されました。
パーキンソン病を併発するてんかん患者さんにゾニサミドを投与するとパーキンソン病の改善が見られたことからパーキンソン病治療薬としても開発が進められました。
トレリーフ錠(一般名:ゾニサミド)がどのようにパーキンソン病を改善するのか、作用機序について解説していきます。
トレリーフ(ゾニサミド)作用機序
トレリーフ(一般名:ゾニサミド)はパーキンソン病の治療薬であるL-DOPA(レボドパ)の効果を増強・延長させる薬です。
パーキンソン病は下記の4つを特徴とする疾患です。
- 振戦(手足のふるえ)
- 筋固縮(こわばり)
- 無動(動作が遅い)
- 姿勢・歩行障害
パーキンソン病は黒質メラニン含有神経細胞の変性によって中枢のドパミンが減少することが原因と考えられています。
パーキンソン病は脳内のドパミン不足が原因になることから、ドパミンの補充が行われるケースがあります。
しかし脳には血液脳関門(BBB:Blood Brain Barrier)というバリアのようなものがあって、ドパミンを投与しても血液脳関門を通過できないため脳には届きません。
そこで、ドパミンの前駆物質であり血液脳関門を通過できるL-DOPA(レボドパ)を投与するのです。
L-DOPA(レボドパ)は脳内でレボドパ脱炭酸酵素によってドパミンに変換されます。
しかし脳内のドパミンはMAO-B(Monoamine Oxidase-B)という酵素によって分解されてしまいます。
トレリーフ(ゾニサミド)はドパミンを分解するMAO-Bの働きを邪魔するとともに、ドパミン合成に関与するチロシン水酸化酵素を活性化させたり、ドパミン放出促進作用もあることが分かっています。
- MAO-B阻害によるドパミン代謝を抑制
- ドパミンの合成促進
- ドパミン放出促進
以上によってレボドパの作用増強、延長効果が期待されます。
wearing off(ウエアリングオフ)現象とは?
トレリーフ(ゾニサミド)はパーキンソン病(レボドパ含有製剤に他の抗パーキンソン病薬を使用しても十分に効果が得られなかった場合)に使用される薬のため、パーキンソン病の治療に最初から処方されることはありません。
またレボドパ製剤と併用することとなっているため、単独で処方されることもありません。
レボドパ製剤を長期で使用すると問題となるのが、効果が短くなり、次に服用するまでにパーキンソン病の症状がひどく現れるwearing off(ウエアリングオフ)現象です。
トレリーフ(ゾニサミド)はレボドパ製剤の作用を増強させる働きがあることからwearing off(ウエアリングオフ)の改善にも処方されるケースがあります。
発汗減少による体温上昇に注意
抗てんかん薬としてゾニサミドを服用した際に汗の減少が報告されています。
パーキンソン病の治療での臨床試験では発汗減少は報告されていませんが、汗が減少することで体温が上昇する可能性があることから炎天下での運動や作業は避ける方が無難でしょう。