前立腺肥大症や前立腺癌は男性ホルモン(アンドロゲン)が関与していています。
前立腺肥大症や前立腺がんに処方されるのが抗アンドロゲン作用のあるプロスタール錠(一般名:クロルマジノン酢酸エステル)です。
プロスタールがどのように前立腺肥大症や前立腺癌に効果を示すのか、作用機序について解説していきます。
低用量で前立腺肥大症・高用量で前立腺癌
錠剤タイプのプロスタール錠は、前立腺肥大症と前立腺癌に適応があり、徐放性製剤であるプロスタールL錠50mgは前立腺肥大症のみに適応があります。
ちなみにLは徐放製剤(Long Acting)の意味があります。
1日50mgの低用量では前立腺肥大症に、1日100mgの高用量では前立腺癌の治療というように、1日に投与される量によって適応が異なります。
プロスタール(クロルマジノン)作用機序
男性ホルモン(アンドロゲン)は前立腺を肥大させたり、前立腺がんの増殖にも関与しているとされています。
そのため前立腺肥大や前立腺がんにはアンドロゲンに対抗する薬が処方されることがあります。
プロスタール(クロルマジノン)は
- 前立腺に直接作用しアンドロゲンの働きを抑える作用
- 血中テストステロン(男性ホルモンの一種)低下作用
の2つの作用があります。
(2)については高用量の1日100mg投与の時に確認される作用です。
前立腺への直接作用
- 前立腺に直接作用しアンドロゲンの前立腺への取り込みを阻害
- アンドロゲンがアンドロゲン受容体に結合するのを阻害
血中テストステロン低下作用
- 視床下部-下垂体系の抑制作用(脳への作用)
- 精巣でのテストステロン生合成抑制作用
男性機能の低下・女性化乳房の副作用
プロスタール(クロルマジノン)の主な副作用は胸が張るなどの女性化乳房や、男性機能の低下です。
クロルマジノンは合成黄体ホルモンといって、人工的に作られた女性ホルモンです。
そのため女性化といった副作用が現れるのです。