胃のムカツキなど逆流性食道炎などで処方される薬がガスター錠(一般名:ファモチジン)です。
ガスターは市販薬で「ガスター10(テン)」として発売されていることから、馴染みのある薬かと思います。
最近はファモチジン錠+メーカー名といったジェネリック医薬品で処方される機会が増えてきました。
ガスター(ファモチジン)について薬局で聞かれる質問を中心にまとめてみました。
作用機序
ガスターがなぜ逆流性食道炎や胃炎に効果があるのか?
作用機序について解説したいと思います。
逆流性食道炎や胃・十二指腸潰瘍は「胃酸」が原因となっておこります。
胃酸は胃の壁細胞にあるヒスタミンH2受容体にヒスタミンがくっつくことで分泌されるのですが、ガスターはヒスタミンH2受容体にヒスタミンがくっつくことを妨害することで胃酸の分泌を抑えます。
胃酸の分泌を抑えることで結果的に胃の防御因子の割合が高くなり、胃・十二指腸潰瘍や上部消化管出血などに効果を示します。
ガスターD錠(ファモチジンOD錠)との違い
D錠とは口腔崩壊錠といって「口で溶ける剤形」のことをいいます。
ガスターD錠のジェネリック医薬品ではファモチジンOD錠として発売されています。
D錠も普通錠も吸収や効果には全く変わりありません。
市販のガスター10との違い
市販薬にガスター10(テン)があり、有効成分のファモチジンが10mg含まれています。
医療用のガスター錠10mgと全く同じ有効成分になります。
一方、医療用のガスターにはファモチジンが10mgと20mg含まれたものが存在します。
ファモチジンが20mg入ったガスター錠20mgの市販薬は販売されておりません。
妊娠・授乳中の服用
「妊娠中だけどガスター服用してもいい?」
と聞かれることがありますが「治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与」となっています。
催奇形性が報告されていないことから実際の現場では、妊婦さんに処方されることはよくあります。
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。]
引用元 ガスターインタビューフォーム
「授乳中だけどガスター服用できる?」
と聞かれることがありますが、製薬メーカーの説明書では「授乳させないよう注意すること」となっています。
授乳婦:授乳婦に投与するときは授乳させないよう注意すること。[母乳中に移行することが報告されている。]
引用元 ガスターインタビューフォーム
しかし海外の基準では、授乳中のガスターの服用は「最も安全」のL1に位置づけられています。
L1 適合(安全):compatible 多くの授乳婦が使用するが、児への有害報告なし。対照試験でも児に対するリスクは示されず、乳児に害を与える可能性はほとんどない。又は、経口摂取しても吸収されない。
日本では少しでも母乳に移行すると「授乳を中止すること」となっていますが、実際に母乳に移行する薬の量はごくわずかで、赤ちゃんに影響がでないことが多くあります。
ガスターについても、海外で安全性が認められていることから、授乳を中止しなくてOKと指導されるケースも多くあります。