鉄欠乏性貧血に処方される鉄剤がフェルムカプセル(成分名:フマル酸第一鉄)です。
ジェネリック医薬品(後発医薬品)
フェルムカプセルには2017年現在、ジェネリック医薬品は販売されていません。
緑茶・コーヒーの同時服用は避ける
フェルムカプセルは緑茶やコーヒーなどの渋み成分である「タンニン酸」と一緒に服用しないよう「併用注意」となっています。
理由はタンニン酸と鉄が結合(キレート形成)し、鉄の吸収が低下すると考えられているからです。
しかし、最近の研究では、鉄欠乏性貧血の場合、小腸での鉄の吸収が亢進していることから、お茶などを摂取しても吸収に差はないとの報告もあるそうです。
タンニン酸が鉄と不溶性塩を形成し鉄の吸収が阻害されるという実験結果がある。一方,臨床で用いられる鉄剤は徐放性で 1日100~200mgという大量に服用されるため,女性や貧血患者のように体内の鉄が不足し,鉄吸収率の亢進した状況下ではお茶などのタンニン含有飲料を摂取した場合でも,タンニン酸と未反応の鉄が効率よく吸収され,水だけで服用した場合と変わらない鉄吸収率を示すという臨床報告もある。
引用元 フェルムインタビューフォーム
しかし、念のためフェルムカプセルを服用する場合は、水やぬるま湯で飲むようにしましょう。
吐き気の副作用
フェルムカプセルの主な副作用に悪心や吐き気があります。
空腹時に服用すると吐き気の副作用が出る可能性が高くなりますので、食事の後に多めの水で服用しましょう。
便(うんち)が黒くなる理由
フェルムカプセルを服用すると便が黒くなることが報告されています。
原因は吸収されなかった鉄が便に出ているだけですので、全く問題はありません。
フェルム(フマル酸第一鉄)の市販薬
フェルムカプセルの有効成分であるフマル酸第一鉄が入った市販薬にマスチゲンS錠があります。
マスチゲンS錠1錠あたりの成分は下記の通りです。
フマル酸第一鉄 35mg (鉄11.5mg)
ビタミンC 25mg
ビタミンE酢酸エステル 5mg
リン酸水素カルシウム 25mg
葉酸 0.5mg
ビタミンB12 5μg
ビタミンB1硝酸塩 5mg
ビタミンB2 1mg
ビタミンB6 0.5mg
ニコチン酸アミド 3mg
硫酸コバルト 0.05mg
硫酸銅 0.5mg
フェルムカプセルには1カプセル中に鉄が100mg入っていますが、市販のマスチゲンS錠は1錠あたり鉄が11.5mgと医療用に比べて少なくなっています。