高脂血症(脂質異常症)に処方される薬がクレストール錠(一般名:ロスバスタチンカルシウム)です。

クレストールにはOD錠といって口の中で溶ける口腔崩壊錠も販売されています。

クレストールについて特徴や薬局で患者さんから質問される内容についてまとめてみました。

効能・効果

クレストールの効能・効果は下記の通りです。

高コレステロール血症、家族性高コレステロール血症

1日1回を6週間服用した時のコレステロールの変化率は下記の通りです。

用量2.5mg5mg
LDLコレステロール
悪玉
変化率
-44.99%-52.49%
総コレステロール
変化率
-31.59%-36.4%
HDLコレステロール
善玉
変化率
+7.64%+9.09%

引用元 クレストールインタビューフォーム

LDLコレステロール(悪玉)は下げるのに対して、HDLコレステロール(善玉)を上昇させる働きがあります。

LDLコレステロールの低下率は約45%と効き目が強いのがクレストールの特徴です。

作用機序(メカニズム)

クレストールは主に悪玉コレステロール(LDL)を下げる働きがあります。

なぜクレストールがLDLコレステロールを低下させるのでしょうか?

作用機序(メカニズム)について説明します。

コレステロールは下記の経路で肝臓で合成されます。

スタチン作用機序

コレステロールの合成の過程で重要な役割を担っているのが、

HMG-CoA還元酵素(えいちえむじーこえーかんげんこうそ)

です。

クレストールはHMG-CoA還元酵素の働きを阻害することで、コレステロールの生成を抑えます。

クレストールはスタチン系と呼ばれる薬ですが、リピトール(一般名:アトルバスタチン)やメバロチン(一般名:プラバスタチン)といった代表的なスタチン系の薬剤と同じ作用機序でコレステロールを低下させます。

飲んではいけない理由(週刊現代)

クレストールは2016年の週刊現代に「飲んではいけない薬」として取り上げられ話題になりました。

理由は筋肉が溶ける横紋筋融解症の危険があるため

筋肉が溶ける「横紋筋融解症」の危険性があることから「飲んではいけない薬」として記事に取り上げられています。

薬局でも患者さんから

「飲み続けて大丈夫?」

といった不安の声を聞くとがありました。

結論からいえば、

「正しい知識をつけて定期的に受診をする限り問題ない」

というのが薬剤師の僕の意見です。

僕自身も薬はあまり好きでなく、できる限り薬は飲まない方向にもっていきたいと思いますが、身体にとって必要な薬を自己判断で中止するのは危険です。

横紋筋融解症の発生頻度は極めて低い

クレストールで報告されている横紋筋融解症の頻度は0.1%未満と極めて低いのが特徴です。

飲み始めや増量した場合、3ヶ月間(12週間)は1ヶ月間隔で血液検査をし、それ以降は半年に1度くらいの間隔で血液検査をすれば問題ありません。

横紋筋融解症の場合、「CK」という値が上昇します。

病院ではLDLコレステロールの変化だけでなく、肝機能や腎機能、CKの値を定期的にチェックしています。

横紋筋融解症の初期症状を理解する

横紋筋融解症の初期症状として

筋肉が痛い
手足の力が入らない
尿が赤褐色になる(コカコーラ色)

といった症状がでてきます。

このような横紋筋融解症が疑われるが症状がでた場合に薬局の薬剤師に相談しましょう。

横紋筋融解症は「初期症状」をしっかり把握し、定期的に血液検査をすれば確実に重症化を防ぐことのできる副作用だと考えています。

クレストールは効き目の鋭い薬なので、リスクとベネフィットを考慮しながら飲み続けていく必要があります。

グレープフルーツの影響

クレストール(ロスバスタチン)を服用中にグレープフルーツやグレープフルーツジュースを摂取しても問題ありません。

同じスタチン系のリピトール(アトルバスタチン)はグレープフルーツによって代謝が阻害され、副作用が強くでることがあるため避ける必要がありますが、クレストールは問題ありません。

妊娠・授乳中の服用

妊婦さんの場合、クレストール(ロスバスタチン)は奇形性が報告されていることから「投与しないこと」と定められています。

妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないこと。[妊娠中の投与に関する安全性は 確立していないが、ラットに他のHMG-CoA 還元酵素阻害剤を大量投与した場合に胎児の骨格奇形が報告されている。更にヒトでは、他の HMG-CoA 還元酵素阻害剤で、妊娠 3 ヵ月までの間に 服用したとき、胎児に先天性奇形があらわれたとの報告がある。]

引用元 クレストールインタビューフォーム

授乳中の場合は授乳を中止することとなっています。

授乳中の婦人には投与しないこと。[ラットで乳汁中への移行が報告されている。]