水虫やカンジダに処方される抗真菌薬がラミシールクリームです。
ラミシールクリームが処方された患者さんから薬局で質問を受ける内容をまとめました。
ラミシールクリームを使用される方の疑問の解決にお役に立てると幸いです。
有効成分
ラミシールクリームは1g中にテルビナフィン塩酸塩を10㎎含有しています。
水虫やカンジダの原因となる真菌の細胞膜の合成を阻止することで、真菌に対して殺菌作用を示します。
効能・効果(水虫・カンジダ)
ラミシールクリームの効能・効果です。
1.白癬:足白癬、体部白癬、股部白癬
2.皮膚カンジダ症:指間びらん症、間擦疹(乳児寄生菌性紅斑を含む)
3.癜風(でんぷう)
白癬とはカビの1種である「真菌(しんきん)」が原因で起こります。
足に真菌が感染するのが「水虫」、陰部(股部)に真菌が感染するのが「いんきんたむし」、体部に真菌が感染するのが「ぜにたむし」です。
カンジダ菌は人間に元々住み付く菌で免疫低下や、抗生物質を内服した時などにカンジダ症として現れます。
陰部やわきの下など通気性の悪い場所で発症します。
癜風(読み方:でんぷう)とは癜風菌という人の皮膚に元々ある常在菌が原因となります。
作用機序(メカニズム)
ラミシールの有効成分である「テルビナフィン塩酸塩」は真菌の細胞膜の構成成分であるエルゴステロールの合成を阻害します。
より細かく作用機序を解説します。
真菌の細胞膜の構成成分であるエルゴステロールはざっくりと下記のように合成されます。
メバロン酸
↓
スクアレン
↓
ラノステロール
↓
エルゴステロール
エルゴステロールはメバロン酸からスクアレンを経て合成されます。
スクアレンからエルゴステロールに変換されるまでいくつか過程があるのですが、その際に必要となる酵素(スクアレンエポキシダーゼ)をラミシール(テルビナフィン塩酸塩)が阻害します。
そのため真菌の細胞膜の構成成分であるエルゴステロールの合成が抑えられ、抗真菌作用を示すのです。
人間の細胞膜に「エルゴステロール」は存在しないことから人の細胞を傷つけず、真菌のみに作用するのが特徴です。
塗り方(使い方)
ラミシールクリームは1日1回塗布します。
入浴後など、患部が清潔な状態で、少し広めに塗るようにしましょう。
薬はケチケチせず、たっぷりと塗るのがポイントです。
陰部(性器カンジダ)への使い方
泌尿器科や婦人科から性器カンジダでラミシールクリームが処方されるケースがあります。
男性の場合は患部を清潔にした状態で、症状のでている部分より少し広めに塗りましょう。
女性の場合は膣の中に入れる膣錠とセットで出されることがあります。ラミシールクリームは膣の中には使用しませんので膣の周りに使用します。
ジェネリック医薬品
ラミシールクリームには薬価の安いジェネリック医薬品が販売されています。
ラミシールクリームの主なジェネリック医薬品一覧
- テルビナフィン塩酸塩クリーム1%「日医工」
- テルビナフィン塩酸塩クリーム1%「サワイ」
- テルビナフィン塩酸塩クリーム1%「タイヨー」
- テルビナフィン塩酸塩クリーム1%「トーワ」
- 塩酸テルビナフィンクリーム1%「MEEK」
先発品と比べて添加物に違いはありますが、効能・効果や有効成分はまったく同じとなっています。
妊娠・授乳中の使用
妊婦さんには「治療上の有益生が危険性を上回る場合に使用すること」となっています。
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ使用すること。〔妊娠中の使用に関する安全性は確立していない〕
引用元 ラミシールクリーム インタビューフォーム
催奇形性は報告されていないので、妊婦さんでも処方されるケースはあります。
授乳中は添付文書に注意書きはなく「授乳を中止することなく使用していい」と指導されるケースがあります。
市販薬は売っている?
ラミシールクリームの有効成分であるテルビナフィン塩酸塩が同じ濃度入った市販薬が販売されています。
テルビナフィンのみが入った市販薬は
- ラミシールATクリーム
になります。
またテルビナフィンに加え痒み止めなどがプラスされた市販薬も販売されています。
- ダマリングランデ
- メンソレータムエクシブクリーム
などです。
ラミシールクリームは性器カンジダでの相談がとても多い薬剤です。
自己判断で使用せず、医師・薬剤師の指示のもと使用するようにしてください。
また水虫の場合は、「かきくけこ」を意識してください。
か・・・かんそうさせる。
き・・・きれいに保つ。
く・・・くすりをつける。
け・・・けちらない。
こ・・・こんきよく塗る。
ラミシールクリームで疑問や相談がございましたら下記の質問ボックスよりコメントくださいませ。