不安やうつ、不眠や肩こりの時に処方される薬がデパス(成分名:エチゾラム)です。

有効成分であるエチゾラムの量によって0.25mg0.5mg1mgの錠剤と、細粒1%があります。

またジェネリック医薬品も多く発売されており、エチゾラム+メーカー名の名前でトーワ薬品や日医工サワイ製薬などから販売されています。

向精神薬としての扱いを受けず、日数制限もないため比較的よく処方される薬です。
しかし、ある精神科のDrは「デパスは依存性があり極めて危険な薬だ」とおっしゃっており、私自身も薬剤師として患者さんと接する中で、「依存してなかなかデパスを辞めれない」といった相談を受ける機会も何度かありました。

デパスについて薬局でよく相談されることを中心にまとめてみました。

※2016年10月追記 
2016年10月14日より第三種向精神薬に指定され、2016年11月より30日処方制限の対象となりました。

デパスの主な作用

デパスの主な作用は

強力な抗不安作用
鎮静・催眠作用
筋緊張緩和作用

の3つがあります。

不安や不眠だけでなく筋弛緩作用があることから、頭痛肩こりにも処方されることがあります。

下記に正式な適応症を挙げてみました。

・神経症における不安・緊張・抑うつ・神経衰弱症状・ 睡眠障害
・うつ病における不安・緊張・睡眠障害
・心身症(高血圧症, 胃・十二指腸潰瘍)における身体症候ならびに不安・緊張・抑うつ・睡眠障害
・統合失調症における睡眠障害

・下記疾患における不安・緊張・抑うつおよび筋緊張
頸椎症, 腰痛症, 筋収縮性頭痛

効果発現時間・どれくらいの時間で効いてくる?

通常、デパス(エチゾラム)は服用後、30分くらいから効き始め、3時間前後に体の中のデパスの濃度(血中濃度)が最大になります。

風邪薬は併用していい?

鼻水を抑える成分が入った市販薬と一緒に服用すると眠気や口の渇きが強くなることがあります。
絶対に一緒に飲んではいけない「併用禁忌」ではありませんが、風邪薬とデパスを一緒に飲む際は眠気やふらつきに注意しなればいけません。

お酒(アルコール)を飲んでいい?

アルコールを飲むことで眠気やふらつき、運動障害が強く出る可能性があります。
デパスを服用中はアルコールを極力避けた方がいいですが、付き合いで飲まないといけない時は少量に抑え、ふらつきなどに注意する必要があります。

副作用(眠気・目の症状)

販売元の田辺三菱製薬が発表している主な副作用は眠気 (3.60%)ふらつき (1.95%)倦怠感 (0.62%)脱力感 (0.37%)となっています。(発生確率)

またデパスで特有の副作用として、眼瞼痙攣が起こることがあります。
瞬きが多くなったり、目の渇きまぶしく感じるようになるなど、目の有害症状が出ることがあります。

デパスの副作用と気づかず、眼科を受診することがありますが、デパスを服用して瞼のけいれん、瞬きが多くなる、目が乾くようになったなど眼の症状があればデパスの服用を中止し、主治医に必ず相談してください。

飲みすぎてしまった場合の対応(OD)

デパスを過剰に服用してしまうと、運動失調,低血圧,呼吸抑制,意識障害等の症状が出てきます。自殺願望など、自暴自棄となって一度に大量に飲んでしまった場合、周りで気づいた方がすぐに医療機関を受診させてください。

デパスをオーバドーズ(OD)した時は吸引や胃洗浄、フルマゼニル(ベンゾジアゼピン受容体拮抗剤)が投与されるケースがあります。

妊娠とデパス(エチゾラム)

「妊娠中は服用していい?」という質問も多く受けます。

製薬メーカーの説明書によると「治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること」となっています。

妊婦(3ヵ月以内)又は妊娠している可能性のある婦人には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。〔動物実験により催奇形作用が報告されており,また,妊娠中に他のベンゾジアゼピン系薬剤(ジアゼパム)の投与を受けた患者の中に奇形を有する児等の障害児を出産した例が対照群と比較して有意に多いとの疫学的調査報告がある〕

妊娠後期の婦人には,治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。〔ベンゾジアゼピン系薬剤で新生児に哺乳困難, 嘔吐,活動低下,筋緊張低下,過緊張,嗜眠,傾眠,呼吸抑制・無呼吸,チアノーゼ,易刺激性,神経過敏,振戦,低体温,頻脈等を起こすことが報告されている。なお,これらの症状は,離脱症状あるいは新生児仮死として報告される場合もある。また,ベンゾジアゼピン系薬剤で新生児に黄疸の増強を起こすことが報告されている。なお,妊娠後期に本剤を連用していた 患者から出生した新生児に血清 CK(CPK)上昇があらわれることがある。〕

引用元 デパスインタビューフォーム

また、

分娩前に連用した場合,出産後新生児に離脱症状があらわれることが,ベンゾジアゼピン系薬剤で報告されている

 

となっており、絶対に服用してはいけないわけではないですが、デパスの治療の有益性が上回る場合のみOKとなっています。

授乳とデパス(エチゾラム)

「授乳中にデパスを服用してもいい?」という質問も多く受けます。

製薬メーカーの説明書では「授乳を避けること」となっています。

授乳婦への投与は避けることが望ましいが,やむを得ず投与する場合は 授乳を避けさせること。〔ヒト母乳中へ移行し,新生児に体重増加不良があらわれることがある。また,他のベンゾジアゼピン系薬剤(ジアゼパム)で嗜眠,体重減少等を起こすことが報告されており,また黄疸を増強する可能性がある。

デパスを服用する場合の授乳は主治医の判断に従い、自己判断での授乳は避けましょう。

市販薬はある?

デパス(エチゾラム)には市販薬は販売されていません。

デパスとエチゾラム(ジェネリック)の違い

デパスには薬価の安いジェネリック医薬品が販売されています。

デパスのジェネリック一覧

エチゾラム錠
「EMEC」
「ツルハラ」
「トーワ」
「JG」
「KN」
「NP」
「SW」
「TCK」
「アメル」
「オーハラ」
「フジナガ」
「日医工」
「日新」

デゾラム錠
武田テバファーマ

先発品のデパスと有効成分や効能・効果は同じですが、添加物や見た目に違いがあるため、「効き目が違う」と感じる方もいらっしゃいます。