花粉による鼻水や蕁麻疹など皮膚の痒みにも処方される抗アレルギー薬にアレロック(成分名:オロパタジン)やアレグラ(成分名:フェキソフェナジン)があります。
アレロックには錠剤の2.5mgと5mg、口の中で溶ける口腔崩壊錠(OD)、小児向けに顆粒が存在します。
アレグラには錠剤の30mgと60mg、口の中で溶ける口腔崩壊錠(OD)、小児向けにドライシロップ(DS)が存在します。
アレグラとアレロックについて強さや特徴について比較してみました。
アレグラ(フェキソフェナジン)との違い・比較
アレグラ (フェキソフェナジン) | アレロック (オロパタジン) | |
---|---|---|
副作用の眠気 | 少(0.5%) | 多(7%) |
車の運転 | できる | できない |
効果 | アレロックより弱い | アレグラより強い |
飲み方 | 1日2回服用 | 1日2回朝・寝る前に服用 |
食事の影響 | 食後で吸収低下(15%) | 食後で吸収低下(16%) |
年齢 | DSは6ヵ月~ 錠剤は7歳~ | 顆粒は2歳~ 錠剤は7歳~ |
アレグラの方が痒みを抑えたり鼻水を抑える強さはアレロックに比べやや弱いといわれていますが、その分副作用の眠気も少ないのが特徴です。
またアレグラもアレロックも食後に飲むとやや吸収が落ちることが報告されています。問題にはならないことから食後に処方されるケースがありますが、より効果を出すためには食前に飲むことが推奨されています。
またアレグラはマイルドな薬のため6ヵ月の赤ちゃんから服用が可能です。
妊娠・授乳中の服用
「妊娠中にアレグラとアレロックならどっちが安全?」
これは患者さんよりも医師から聞かれることがある質問です。
アレグラもアレロックも製薬メーカーが出している説明書では
「治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること」
となっています。
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。]
引用元 アレロックインタビューフォーム
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。]
引用元 アレグラインタビューフォーム
日本の場合、ほとんどの薬がこのような無難な書き方をされているので、医療従事者たちは困ります・・(´Д`)
海外の基準がありますので、そちらで比較したいと思います。
アレグラ (フェキソフェナジン) | アレロック (オロパタジン) | |
---|---|---|
添付文書(日本) | 有益性上回る場合OK | 有益性上回る場合OK |
FDA | C | C |
オーストラリア | B2 | B1 |
FDAの基準ではどちらも「C」と同じランクに位置づけられています。
FDA 「C」
動物生殖試験では、胎仔に催奇形性、胎仔毒性、その他の有害作用があることが証明されており、ヒトでの対照試験が実施されていないもの。あるいは、ヒト、動物ともに試験は実施されていないもの。ここに分類される薬剤は、潜在的な利益が胎児への潜在的危険性よりも大きい場合にのみ使用すること。
オーストラリアの基準ではアレロックはB1、アレグラはB2に位置づけられています。
B1
妊婦および妊娠可能年齢の女性への使用経験はまだ限られているが、この薬による奇形やヒト胎児への直接・間接的有害作用の発生頻度増加は観察さていない。動物を用いた研究では、胎仔への障害の発生が増加したという証拠は示されていない。
B2は下記の通りで、B1とそれほど変わりありません。
B2
妊婦および妊娠可能年齢の女性への使用経験はまだ限られているが、この薬による奇形やヒト胎児への直接・間接的有害作用の発生頻度増加は観察さていない。動物を用いた研究は不十分または欠如しているが、入手しうるデータでは、胎仔への障害の発生が増加したという証拠は示されていない。
妊娠中に処方する場合、オーストラリアの基準のみアレロック(オロパタジン)がやや安全となっていますが、臨床現場ではアレグラ(フェキソフェナジン)も妊婦さんに使用される傾向にあります。
授乳中の服用
「授乳中の場合、アレグラとアレロックならどっちが安全?」
このような質問を医療従事者や患者さんからも聞かれることがあります。
アレロックもアレグラも製薬メーカーの説明書には「授乳を避けさせること」となっています。
授乳中の婦人に投与することを避け、やむを得ず投与する場合には授乳を中止させること。[動物実験(ラット)で乳汁中への移行及び出生児の体重増加抑制が報告されている。]
引用元 アレロックインタビューフォーム
授乳中の婦人には本剤投与中は授乳を避けさせること。[動物実験(ラット)で乳汁中へ移行することが報告されている。]
引用元 アレグラインタビューフォーム
しかし海外の基準ではアレグラについては最も安全の「L1」に位置づけられています。
L1 適合(安全):compatible
多くの授乳婦が使用するが、児への有害報告なし。対照試験でも児に対するリスクは示されず、乳児に害を与える可能性はほとんどない。又は、経口摂取しても吸収されない。
日本の場合、少しでも母乳に薬が移行すると「授乳を中止するように」となっていますが、実は母乳中に移行する薬の量はごくわずかで赤ちゃんに影響がでないことが多くあります。
アレロックに関しては海外の基準がないのですが、アレグラは「授乳を中止しなくていい」と指導されるケースがあります。
市販薬は売っている?
アレグラには市販薬のアレグラFXが販売されています。
1錠中にフェキソフェナジンが60mg含まれており、アレグラ錠60mgと全く同じです。
アレロックについては2017年時点で市販薬は発売されておりません。
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