美容皮膚科や皮膚科でシナールなどのビタミンCと、ユベラなどのビタミンEとセットで処方されるのがタチオン錠(一般名:グルタチオン)です。
タチオン錠の説明書には「皮膚」のことの記載がないことから、
「一体タチオンは何の薬なの?」
と薬局で聞かれることがあります。
効能・効果
タチオンには錠剤だけでなく注射薬もあります。
タチオン錠には「皮膚」に関する効能・効果の記載はありませんが、
タチオンの注射薬については「皮膚炎」「色素沈着」「肝斑」といった皮膚に対する効能・効果を取得しています。
注射をすると体に負担がかかることから、「しみ」や「肝斑」などにタチオン錠が処方されるケースが実際は多くあるのです。
タチオン錠とタチオン注射用の効能・効果は下記の通りです。
規格 | 効能・効果 |
---|---|
タチオン錠50mg,100mg | 薬物中毒,アセトン血性嘔吐症(自家中毒,周期性嘔吐症),金属中毒,妊娠悪阻(つわり),妊娠高血圧症候群 |
タチオン注射用 50mg,100mg | 薬物中毒,アセトン血性嘔吐症(自家中毒,周期性嘔吐症) 慢性肝疾患における肝機能の改善 急性湿疹,慢性湿疹,皮膚炎,じんま疹,リール黒皮症,肝斑,炎症後の色素沈着 妊娠悪阻,妊娠高血圧症候群 角膜損傷の治癒促進 放射線療法による白血球減少症,放射線宿酔,放射線による口腔粘膜の炎症 |
作用機序
タチオン(グルタチオン)には主に下記の作用があります。
- 中毒の解毒作用
- 放射線障害の防止作用
- 肝機能を改善する作用
- 皮膚障害改善作用
- 角膜炎の改善作用
SH基があるため酸化還元系に関与し解毒作用を示したり、酵素を助ける「助酵素」として働き解毒作用を示すとされています。
製薬メーカーの実験(in vitro)では痒みや炎症の原因となるヒスタミンの遊離を抑えたり、しみの原因となるメラニン生成阻害作用も報告されています。
また細胞成分の保護や活性化、細胞分裂や増殖に関与もしています。
そのため美容外科では美肌目的、アレルギーによる皮膚炎を改善する目的、老化予防目的などで使われるケースがあります。
参照 タチオン錠 インタビューフォーム
飲み忘れた場合
一般的には飲み忘れた場合は、1回飛ばして次回服用時間に飲むこととされています。
主治医から指示がある場合はそちらに従うようにしましょう。
副作用は食欲不振・悪心・発心など
タチオン(グルタチオン)は副作用は少ない薬ですがまれに下記のような副作用が報告されています。
0.1%未満 | |
過敏症 | 発疹等 |
消化器 | 食欲不振,悪心・嘔吐,胃痛等 |
ジェネリック医薬品
タチオン錠の100mgには薬価の安いジェネリック医薬品が存在します。
ランデールチオン錠100mg
製薬メーカーは「鶴原製薬」から販売されていますが、取引のない医薬品卸があることから、仕入れが難しい薬局もあり取り寄せができないケースがあります。
併用薬(ビタミンC+ビタミンE)
タチオン錠が皮膚科で処方される時は単独でなく、ビタミンCとビタミンEがセットで処方されることがあります。
タチオンと併用される主なビタミンC製剤
タチオンと併用される主なビタミンE製剤
- ユベラ錠
- トコフェロール酢酸エステル錠50mg「ファイザー」
- バナール錠50mg
- ユベラNカプセル100mg
- トコフェロールニコチン酸エステルカプセル100mg「NP」
- バナールNカプセル100mg