胃カメラで特に異常がないのに、胃腸の状態がなんとなく優れない時に処方されるのがアコファイド錠(一般名:アコチアミド)です。

アコファイド錠は機能性ディスペプシアという疾患に世界で初めて適応をとった薬です。

機能性ディスペプシアの具体的な症状や、アコファイドの特徴、薬局で聞かれる質問内容をまとめました。

機能性ディスペプシア(FD)とは?診断基準

機能性ディスペプシア(functional dyspepsia)は内視鏡などで器質的な異常がないにも関わらず、胃もたれやみぞおちの痛みなど上腹部を中心とした症状が持続する疾患です。

薬を服用してもなかなかよくならず、しまいには抗うつ薬を処方されたり、器質的な異常がないことで周りから理解されず、辛い思いをされる方もいらっしゃいます。

機能性ディスペプシアは具体的にどのような症状がでるのでしょうか。

診断基準にRome基準というものがあります。

【必須条件】

1.以下の症状が1つ以上ある

a.つらいと感じる食後のもたれ感
b.つらいと感じる早期飽満感
c.つらいと感じる心窩部痛(しんかぶつう)
d.つらいと感じる心窩部灼熱感
心窩部とは?・・みぞおちのこと

2.症状の原因となりそうな器質的疾患が確認されない

参照 Rome基準

1,2の状態が6ヶ月以上前に始まり、直近3ヶ月以内に上記の基準を満たす場合に機能性ディスペプシアと診断されます。

効能・効果

アコファイドの効能・効果です。

機能性ディスペプシアにおける食後膨満感、上腹部膨満感、早期満腹感

機能性ディスペプシアのみぞおちの痛みや灼熱感には有効性は確認されていません。

飲み方・食前服用の理由

アコファイドは1日3回食前に服用します。

食前とは食事の20〜30分前のことをいいます。

アコファイドを食前に服用することで食後に最も効果を発揮する目的があるためです。

また食後に服用すると食前に比べて最大血中濃度が約60%低下してしまいます。

薬を最大限に効かせるために、食事の前に服用するように設定されています。

飲み忘れた場合の対応

「食前はよく忘れてしまう・・・」

といった相談を受けることがあります。

食事の前ってなかなか服用が難しいですよね?

飲み忘れに気づいた場合は「気づいた時に服用すること」となっています。

食後や空腹時でも服用して問題ありませんが、食前服用に比べると効果は落ちてしまいます。

ただし次回服用分に近い時はとばして、次回から正しく服用するようにしましょう。

効果がでるまでの期間

アコファイドの効果の判断は服用開始から1ヶ月後が目安とされています。

1ヶ月を経過して効果を実感できない場合は、薬の切り替えを検討することとなっています。

数日で効果がでるといった即効性はありませんので、根気よく服用する必要があります。

作用機序(メカニズム)

機能性ディスペプシアは消化管の運動の低下が原因の一つとされています。

アコファイドは消化管の運動を促進させるアセチルコリンの量を高めることで胃の運動機能を改善したり、胃の内容物の排出を促進させます。

アセチルコリンはアセチルコリンエステラーゼ(AChE)という酵素によって分解されてしまうのですが、アコファイドはアセチルコリンエステラーゼを邪魔することでアセチルコリンの分解を抑え、アセチルコリンの量を増やすことができるのです。

妊娠中・授乳中の服用

妊婦さんには「治療上の有益性が危険性を上回る場合にOK」となっています。

妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。(妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。)

引用元 アコファイドインタビューフォーム

製薬メーカーが実施した長期臨床試験で妊娠が判明した事例があったそうですが、2例中2例とも健康な赤ちゃんを出産したと報告されています。

授乳中は母乳中に移行するため「授乳を避けること」となっています。

授乳中の婦人への投与は避けることが望ましいが、やむを得ず投与する場合は授乳を避けさせること。(ラットで乳汁中へ移行することが報告されている)

引用元 アコファイドインタビューフォーム