胃腸炎や大腸炎などによる下痢に処方されるのがフェロベリン配合錠です。
薬価の安いジェネリック医薬品でリーダイ配合錠として処方されることもあります。
フェロベリンについて作用機序や特徴をまとめました。
有効成分
フェロベリン配合錠の有効成分と1錠中の含有量は下記の通りです。
有効成分 | 含有量 |
---|---|
ベルベリン塩化物水和物 | 37.5mg |
ゲンノショウコエキス | 100.0mg |
作用機序
フェロベリンには下記の作用があります。
ベルベリン | ゲンノショウコ | |
止しゃ作用 | ◯ | ◯ |
抗菌作用 | ◯ | ◯ |
腸管平滑筋収縮抑制作用 | ◯ | ◯ |
腸管ぜん動抑制作用 | ◯ | ベルベリンの作用増大 |
腸内腐敗・醗酵抑制作用 | ◯ | |
胆汁分泌促進作用 | ◯ | ◯ |
収れん作用 | ◯ |
止瀉(ししゃ)作用
止瀉作用とは下痢を抑える作用のことです。
ベルベリンとゲンノショウコ共に下痢を抑える作用を有します。
抗菌作用
ベルベリンとゲンノショウコ共に腸炎ビブリオやカンピロバクターといった細菌への抗菌作用があります。
腸管平滑筋収縮抑制・腸管蠕動運動抑制作用
ベルベリンとゲンノショウコ共に腸管の収縮を抑えます。
また下痢の時は腸の運動(蠕動運動)が異常に亢進しているのですが、ベルベリンには腸管蠕動運動を抑える働きがあります。
ゲンノショウコを加えることでより増大するとされています。
腸内腐敗・醗酵抑制作用
下痢などの腸の調子が悪い時は、腸内での異常醗酵が起こっていることがあります。
腸内の異常醗酵の原因の一つに大腸菌によるインドールと呼ばれる有害物質の産生があります。
お腹の調子が悪い時はおならや便が臭くなりますが、インドールは糞臭の原因となります。
ベルベリン塩化水和物には大腸菌によるインドールの産生を抑え、腸内の腐敗を抑える作用があります。
胆汁分泌促進作用
胆汁は脂肪を体内に吸収させる働きがあります。
ベルベリンとゲンノショウコ共に胆汁の分泌を増やし、腸管内に脂肪が溜まるのを抑え、腸内環境を改善します。
収れん作用
ゲンノショウコに含まれる「タンニン」が腸内のタンパク質と結合し、保護膜を作り、腸管粘膜を覆います。
そのため腸管の炎症を抑えたり、刺激から保護することで、過剰な腸の運動を抑える作用があります。
効能・効果
フェロベリンの効能・効果は「下痢症」となっています。
細菌性の下痢には原則禁忌
細菌による下痢は、異物を外に排出するための防御反応です。
細菌性の下痢を無理に止めてしまうと、かえって治療期間を延長させてしまうことがあります。
そのため細菌性の下痢にフェロベリンは原則使用できない「原則禁忌(げんそくきんき)」となっています。
副作用は便秘
フェロベリンの副作用は「便秘」が0.1%〜5%未満の確率で報告されています。
腸の動きを抑えることで下痢を止めますので、便秘は仕方のない副作用です。
また頻度不明ですが「発疹」も報告されています。
妊娠・授乳中の服用
妊娠中や授乳中のフェロベリン使用について説明書での注意書きはありません。
「授乳を中止すること」という記載もないことから授乳中であっても処方されることがあります。