胃潰瘍や胃炎に処方される薬がセルベックス(成分名:テプレノン)です。
セルベックスにはカプセルタイプと細粒タイプがあり、小児~大人まで幅広く使われる薬です。
胃を保護する目的でロキソニンやボルタレンなどの解熱鎮痛剤とセットで処方されることもよくあります。
セルベックスについて薬局でよく聞かれる質問についてまとめてみました。
ジェネリック医薬品との違い
セルベックスカプセルには薬価の安いジェネリック医薬品が存在します。
- テプレノンカプセル50mg「サワイ」
- テプレノンカプセル50mg「テバ」
- テプレノンカプセル50mg「トーワ」
- テプレノンカプセル50mg「日医工」
- テプレノンカプセル50mg「アメル」
- デムナロンカプセル50mg
- アンタゴスチンカプセル50mg
先発品と比べて添加物に違いはありますが、有効成分や効能・効果は全く同じとなっています。
作用機序・効果のある理由
セルベックスがなぜ胃炎や胃潰瘍に効果があるのか?
作用機序について説明したいと思います。
セルベックスは胃粘膜を保護するプロスタグランジン(PGE2やPGI2)の合成を促進させ、下記のような作用を示します。
・胃粘液分泌により胃粘膜の再生と保護作用を示す。
・胃炎・胃潰瘍の欠損粘膜を修復し治癒を促進する。
セルベックスは胃粘膜を保護し、傷ついた粘膜を修復する作用があるとから防御因子増強薬と呼ばれます。
効能・効果・胃もたれに効く?
セルベックスの効能・効果は下記の通りです。
・下記疾患の胃粘膜病変(びらん、出血、発赤、浮腫)の改善
急性胃炎、慢性胃炎の急性増悪期・胃潰瘍
「胃もたれにも効くの?」
と薬局で聞かれることがありますが、医療用のセルベックスには胃もたれを改善する作用はありません。
用法・用量・小児の飲み方
基本的には
1回50mgを1日3回で服用します。
子供が飲む場合は
3歳1日50mg
7.5歳1日75mg
12歳1日100mg
をそれぞれ3回に分けて服用します。
空腹時に服用していい?
「食事摂れないけどセルベックス飲んでいい?」 と聞かれることがありますが、空腹時にセルベックスを服用すると効き目が落ちることが報告されています。
セルベックスを飲むときはできるだけ何か食べて服用することをオススメしますが、無理なようでしたら、そのまま服用しても大きな問題はないと考えられます。
血漿中濃度曲線下面積(AUC)は食後30分投与を100%とすると、食後1時間投与では変化なく、食後3時間投与では約23%低下した。
引用元 セルベックスインタビューフォーム
市販薬は胃もたれに効く
セルベックスの有効成分であるテプレノンが入った市販薬セルベールが発売されています。
セルベールはテプレノンに加えソウジュツやコウボクという胃腸の動きをよくする生薬が配合されています。
そのため市販薬のセルベールには胃もたれにも効果があります。
妊娠・授乳中の使用
「妊娠中だけどセルベックス服用していい?」
と聞かれることがあります。
製薬メーカーの説明書には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ使用となっています。
しかし催奇形性が報告されていないことから実際に現場では妊婦さんに処方されることはあります。
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
引用元 セルベックスインタビューフォーム
授乳中の場合は添付文書に注意書きがないことから「授乳を中止しなくても服用して良い」と指導されるケースがあります。
ムコスタ(レバミピド)との飲み合わせ・併用・違い
「ピンクの胃薬のムコスタ(レバミピド)と一緒に服用していい?」
と聞かれることがあります。
セルベックスもムコスタも同じ防御因子増強薬として位置づけられているため同系統の薬の併用は避けた方がいいでしょう。
病院では保険の関係上、重複して処方されることはありませんが、整形外科と歯科など別の診療科で重複するケースがあります。
その際は医師や薬剤師に伝えることで処方を削減してもらえます。
ムコスタとセルベックスには大きな違いはありませんが、ムコスタにはフリーラジカル抑制作用といって活性酸素を消去することが報告されています。
またセルベックスは空腹時に服用すると吸収が低下しますがムコスタは食事に影響されません。
そのため頓服の際はムコスタが多く使われる傾向にあります。