胃腸風邪の時の吐き気や、食欲不振時に処方される薬がナウゼリン錠(成分名:ドンペリドン)です。

「ナウゼリン(ドンペリドン)はどれくらいの時間間隔あけるの?」
「授乳中だけど服用して大丈夫?」

ナウゼリンについて薬局で患者さんから聞かれる質問を中心にまとめてみました。

ナウゼリンに関する疑問が少しでも解消できると幸いです。

規格とジェネリック医薬品

ナウゼリン錠には有効成分のドンペリドンが5mg10mg入ったものがあります。

また口の中で溶かして服用する口腔崩壊錠ナウゼリンOD錠も存在します。

薬価の安いジェネリック医薬品も多く販売されており、ドンペリドン錠10mg+メーカー名の名前でサワイ製薬や日医工ツルハラなどから販売されています。
ペロリック錠、ハドドリン錠、ナシロビン錠もナウゼリンのジェネリック医薬品です。

ナウゼリンとジェネリック医薬品は添加物は異なりますが、有効成分の量は全く同じとなっています。

効果発現時間・持続時間

薬を飲み始めて最大の血中濃度に到達する時間をtmax(ティーマックス)と呼ぶのですが、ナウゼリンのtmaxは0.5時間(約30分)となっています。

持続時間はおよそ4~6時間となっていますので1日3回、もしくは頓服で処方されるケースが多くあります。

食前服用の理由・食欲ない時は?

ナウゼリン(ドンペリドン)は基本的には「食前」に服用する薬です。

食前とは食事の20~30分前のことです。
食前服用の理由は食事を摂った後のムカツキや吐き気が抑えられるように、食事を摂るタイミングに血中濃度を最大に高めるためです。

ナウゼリン(ドンペリドン)は食事の影響を受けないため、食欲がなく食事を摂れない場合でも服用が可能な薬剤です。

服用する間隔は?

頓服で「吐き気がある時服用」となっている場合。

2回目飲む時はどれくらい間隔をあければよいのでしょうか?

ナウゼリンの持続時間は4~6時間くらいですので、4~6時間経って、吐き気が続くようであれば再度服用できると考えられます。

特別、主治医から指示がある場合はそちらに従うようにしましょう。

子供の用量

「子供にナウゼリン錠(ドンペリドン)を飲ませる場合の量は?」

時々聞かれる質問なのですが、小児へのナウゼリンの用量は下記の通りになります。

通常、ドンペリドンとして1日1.0~2.0mg/kgを1日3回食前に分けて経口投与する。 なお、年令、体重、症状により適宜増減する。ただし、1日投与量はドンペリドンとして30mgを超えないこと。 また、6才以上の場合はドンペリドンとして1日最高用量は1.0mg/kgを限度とすること

引用元 ナウゼリン添付文書

たとえば10歳で体重が35㎏の場合。

6才以上の場合はドンペリドンとして1日最高用量は1.0mg/kgですので、計算上は35mgまで服用可能となります(1.0×35mg)。しかし、小児の場合は1日30mgを超えないこととなっていますので、10歳で体重が35kgの場合の1日最大量は30mgとなります。

あくまで最大が30mgですので、実際にはナウゼリン錠5mgを3回で服用するケースが多いと思います。

妊娠中(妊婦)・授乳中の服用

「妊娠中だけどナウゼリン服用しても大丈夫?」

患者さんや医療従事者から聞かれることが多い質問です。

製薬メーカーの説明書では「妊婦には投与しないこと」となっています。

妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないこと。(動物実験(ラット)で 骨格、内臓異常等の催奇形作用が報告されている。)

引用元 ナウゼリン添付文書

しかし、オーストラリアの基準では下記の通りとなっています。

妊婦および妊娠可能年齢の女性への使用経験はまだ限られているが、この薬による奇形やヒト胎児への直接・間接的有害作用の発生頻度増加は観察されていない。動物を用いた研究は不十分または欠如しているが、 入手しうるデータでは、胎仔への障害の発生が増加したという証拠は示されていない。

引用元 オーストラリア基準

また授乳中の場合、製薬メーカーの説明書では「授乳を避けること」となっています。

授乳中の婦人には大量投与を避けること。[動物実験(ラット)で乳汁中へ移行するこ とが報告されている。]

日本の基準では母乳中に少しでも薬が移行すれば「授乳を中止すること」となっていますが、実際に母乳中に移行する薬の量はわずかで赤ちゃんに影響がでないことが多くあります。

海外の基準では授乳中のナウゼリンの服用は「最も安全」に位置づけられています。

L1適合(安全):compatible

多くの授乳婦が使用するが、児への有害報告なし。対照試験でも児に対するリスクは示されず、乳児に害を与える可能性はほとんどない。又は、経口摂取しても吸収されない。

引用元 妊娠・授乳中の薬の安全性・危険度・影響の基準表

そのため主治医から、ナウゼリンを服用中に授乳を中止しなくてもよいと指導されることが実は多くあります。