消化管の動きが過剰になることで、下痢や腹痛がおこることがあります。
特に器質的な異常がなく、下痢が続く場合にトランコロン(成分名:メペンゾラート臭化物)が処方されることがあります。
トランコロンがどんな薬なのか解説したいと思います。
トランコロン(メペンゾラート臭化物)の作用機序・メカニズム
副交感神経が活発になるとアセチルコリンが放出され、消化管の動きが活発になったり攣縮がおこります。
消化管の動きが活発になったり攣縮がおこると、下痢や腹痛といった症状が現れてしまいます。
トランコロンは特に下部消化管に作用し、副交感神経を遮断することでアセチルコリンの放出を抑え、過剰な消化管の働きを抑える働きがあります。
便秘・口の渇きの副作用が起こる
頻度は不明ですが、トランコロン(メペンゾラート臭化物)によって便秘や口の渇きといった副作用が現れてしまいます。
トランコロンは消化管の運動を抑える作用がありますので、便秘になるのは想像できる副作用でないかと思います。
また緊張すると(交感神経が副交感神経より優位になる)、口が渇くように、トランコロンは副交感神経の働きを抑えますので、どうしても口の渇きはでてしまいます。
自動車の運転には注意
トランコロン(メペンゾラート臭化物)は眼の毛様体筋を弛緩させることから、遠くにはピントがあって近くがボヤけて見える調節障害が報告されています。
そのため車の運転など危険な作業は注意しなければいけません。
妊娠・授乳中の服用
妊婦さんの場合、製薬メーカーの説明書では「有益性が危険性を上回る場合OK」となっています。
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。]
引用元 トランコロンインタビューフォーム
授乳中の使用について注意書きがないことから「授乳を中止しなくてOK」と指導されるケースがあります。
トランコロンPとの違い
過敏大腸炎の治療薬にトランコロンPがあります。
トランコロンは1錠中に抗コリン薬と呼ばれるメペンゾラート臭化物が7.5mg入っているのに対して、トランコロンPにはメペンゾラート臭化物7.5mgに加え、向精神薬に指定されているフェノバルビタール15mgが含有されています。
過敏大腸炎は精神的な要因もあるとされているため、鎮静作用のあるフェノバルビタールを配合したものがトランコロンPとなっています。