逆流性食道炎に処方されるプロトンポンプ阻害薬、通称PPI(読み方:ピーピーアイ)にパリエット(ラベプラゾール)があります。

パリエットについて薬局で患者さんから聞かれる質問をまとめました。

パリエットを服用する方の疑問の解消に少しでもお役に立てると幸いです。

ジェネリック医薬品との違いは?

パリエット錠には薬価の安いジェネリック医薬品が存在します。

  • ラベプラゾールナトリウム錠
  • ラベプラゾールNa塩錠

といった成分名が名前になっています。

先発品と比べて添加物に違いはありますが、有効成分や効能・効果は全く同じです。

ピロリ菌には効果ある?

「パリエット(ラベプラゾール)服用すればピロリ菌は除菌できますか?」

と薬局で患者さんから聞かれることがあります。

薬の説明書にも「ヘリコバクターピロリの除菌補助」と書かれていることもあり、「ピロリ菌の薬」と勘違いされることもあるでしょう。

しかし、 パリエット(ラベプラゾール)単独ではピロリ菌の除菌作用はありません。

ピロリ菌の除菌の際はクラリスロマイシン、アモキシシリンなどの抗生物質とパリエットを併用する特殊な飲み方をしなければいけません。

「パリエットを服用しているからピロリ菌は大丈夫!」

と、くれぐれも思わないようにしてくださいね。

ガスター(ファモチジン)との違い・どっちが強い?

ガスターとどう違うの?どっちが強い?」

と薬局で患者さんから聞かれることがあります。

結論からいえば胃酸を抑える強さはパリエット(ラベプラゾール)の方が強いです。

ではなぜパリエットの方が強いのか説明していきます。

ガスターもパリエットも同じ「胃酸を抑える」働きがあります。

しかし、胃酸を抑えるアプローチに違いがあります。

パリエット・ガスター違い

少し専門的な図になりますが、ガスターはH2ブロッカーと呼ばれる薬です。

胃粘膜の細胞からヒスタミンH2が分泌され、ヒスタミンH2受容体にくっつくことで胃酸が分泌されます。

ガスターはヒスタミンがヒスタミンH2受容体にくっつくことを邪魔することで胃酸の分泌を抑えます。

一方でパリエットはプロトンポンプ阻害薬とよばれ、胃酸が分泌される最終段階を抑えるためH2ブロッカーより強力とされています。

ムコスタ(レバミピド)やセルベックス(テプレノン)と併用しても大丈夫?

ムコスタ錠(一般名:レバミピド)やセルベックスカプセル(一般名:テプレノン)とパリエットの併用の際に

「同じ胃薬なのに飲み合わせは大丈夫?」

と聞かれることがあります。

ムコスタやセルベックスは胃粘膜の防御因子増強薬と呼ばれ、胃酸を抑えるパリエットと作用機序が異なります。

そのため、胃粘膜の炎症がひどい場合に併用されることがあります。

妊娠中・授乳中の服用

妊婦さんには「治療の有益性が危険性を上回る場合にOK」となっています。

妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合 にのみ投与すること。

動物実験で大量に投与した時に胎児の発育遅延が報告されていることが理由ですが、通常量の何千倍もの量で投与した実験となっています。

実際の臨床現場では悪影響などは報告されていません。

また製薬メーカーの説明書では授乳中は母乳中に移行するため「授乳を中止すること」とされています。

しかし、実際には「授乳してもOK」と医師から説明を受けられた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

実際に母乳に移行する量はごくわずかで赤ちゃんに悪影響がでないことが多くあります。

大分県の小児科医会、産婦人科医会、薬剤師会の研究チームでは下記のように分類されています。

限られた授乳婦で研究した結果、乳児へのリスクは最小限と考えられる
授乳婦で研究されていないが、リスクを証明する根拠が見当たらない 

引用元 大分県「授乳と薬」研究会