痔は便秘や下痢、いきみなどで肛門に負担がかかったり、肛門近くの血流が悪くなることで起こり、症状によって下記のタイプに分類されます。
- 痔核(いぼ痔)
うっ血して血管がコブのようになったもの
肛門の内側にできる内痔核・外側にできる外痔核がある - 裂肛(きれ痔)
肛門が切れて傷ができたもの - 痔瘻(じろう)
肛門周囲に炎症が起こり化膿後、膿を排泄するためにトンネルができ、トンネルに感染を繰り返すもの
痔瘻(じろう)となると手術が必要となりますが、痔核(いぼ痔)や裂肛(きれ痔)では炎症を抑える塗り薬や坐薬が処方されます。
ステロイドの配合されていない痔の治療薬として処方されるのがボラザG坐剤、ボラザG軟膏です。
それぞれの有効成分や作用機序、使い方について解説していきます。
有効成分・作用機序
ボラザG軟膏1個(2.4g)、ボラザG坐剤1個あたりに含まれる有効成分の量は下記のとおりです。
有効成分 | 配合量 |
---|---|
トリベノシド | 軟膏 271.2mg 坐薬 200mg |
リドカイン | 軟膏 54.2mg 坐薬 40mg |
トリベノシドには大きく下記の3つの作用があります。
- 抗浮腫作用
- 創傷治癒促進作用
- 循環障害改善作用
痔は肛門の血流が悪くなっていることが原因ですので、
トリベノシドが肛門に直接作用し血流の低下を改善し、傷の治りを促進させる働きがあります。
リドカインには表面麻酔作用があるため、特に排便時の「痛み」にも効果があると考えられます。
ボラザGと同じ市販薬はある?
ボラザGに含まれる「トリベノシド」が入った市販薬は販売されていません。
市販薬でより近いものとしてはステロイドの入っていないボラギノールMシリーズになります。
妊娠・授乳中の使用
妊婦さんの使用についてボラザGの添付文書では下記のとおりです。
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上まわると判断される場合にのみ使用すること。[妊娠中の使用に関する安全性は確立 していない。]
引用元 ボラザG添付文書
授乳中については特に注意書きはありません。
ボラザG坐剤の使い方・挿入方法
内側にできるイボ痔(内痔核)に対して坐薬タイプが処方されることがあります。
坐薬はできる限り、排便後に使用します。
坐薬の後ろをティッシュなどでつかみ、中腰体勢の状態で、先が尖っている方から肛門に挿入します。
入りにくい場合は、先を水などで濡らすか、手で温めると挿入しやすくなります。
中腰になって坐薬を入れた後、立ち上がると完全に中まで挿入されます。
坐薬を挿入後は、坐薬が外に出ていかないようにするためにも30分程度は運動は避けて安静にしておきましょう。
ボラザG坐剤は室温保存(1〜30°C)ですが、27°Cを超えると柔らかくなり挿入しにくくなりますので、柔らかくなった際は冷たい水などで冷やしてから使用するようにしましょう。
ボラザG軟膏の使い方・挿入方法
患部が肛門の内側にあるか、外側にあるかで使用方法が異なってきます。
肛門の外側の場合
外側にできたいぼ痔(外痔核)や、肛門周りの炎症の場合は肛門に直接容器をつけて塗るか、ガーゼなどで塗ります。
大便の後や、入浴後に塗ることをオススメします。
1個に2.4g入っていますが、余った薬剤は捨てて必ず1回1個を使うようにしましょう。
肛門の内側の場合
内側にできたいぼ痔(内痔核)、切れ痔など、肛門の入り口から内側にかけて症状がある場合は、容器を肛門に挿入し塗ります。
挿入する前に容器から少し軟膏を出し、容器の先端に付けておくとスムーズに挿入ができます。
容器を押して薬を注入したあと、容器を押した状態で引き抜きます。
1回に1個を使いきるか、余った場合は破棄するようにしましょう。
生活習慣の対策
痔は肛門周辺の血流が悪くなることが原因ですので、血行を良くし、肛門周辺を清潔にするためにもシャワーだけでなく、お風呂に入ることをオススメします。
長時間の座りっぱなしや立ちっぱなしは血流が悪くなりますので、デスクワークや立ち仕事の方は時々姿勢をかえたり、休憩時間に体操をするのもよいでしょう。
とうがらしやコショウなどの香辛料、アルコールなどの刺激物も痔にはよくありませんので、注意する必要があります。
肛門を傷つけてしまう便秘を予防するためにも、食物繊維や水分をしっかりと摂取することを推奨します。
トイレも長時間入ることで、肛門に負担がかかります。
便がでない場合は無理に出そうとせず、自然に出るまで待ちましょう。
日常生活対策のまとめ
- お風呂はシャワーでなく湯船につかる
- 長時間の同じ姿勢に注意
→時々体を動かす - 刺激物(唐辛子・コショウ)・アルコールを控える
- 便秘防止のため食物繊維・水分をしっかり摂取
- トイレで便を無理に出そうとしない