心筋梗塞や狭心症による血栓予防のために処方されるのがバイアスピリンです。
バイアスピリン服用中の患者さんから
「納豆は食べたらダメですか?」
「ほうれん草などビタミンKを含む食品は避けた方がいい?」
といった質問をよく受けることがあります。
バイアスピリンと納豆やほうれん草などビタミンKを含む食事との影響について解説したいと思います。
バイアスピリンのみでは納豆・ほうれん草摂取OK
結論からいいますと、バイアスピリンのみ服用している場合は納豆、ほうれん草などビタミンKを多く含む食品を摂取しても問題ありません。
多くの方が
「血をさらさらにする薬を飲んでいる場合は納豆を避ける」
と勘違いされていますが、抗凝固薬であるワーファリン(ワルファリン)を服用している場合のみが該当します。
ワーファリン(ワルファリン)が作用する過程で、ビタミンKによってワーファリンの働きが邪魔されるため、納豆などのビタミンKを多く含む食事を摂取すると、ワーファリンの効果が減弱してしまうからです。
バイアスピリンとワーファリンは作用機序に違いがある
バイアスピリンはワーファリンと作用機序が異なり、ビタミンKによって効果に影響がでません。
ワーファリンは血液凝固に関わる凝固因子に必要なビタミンKの働きを阻害することで血が固まるのを抑える働きがあります。
一方でバイアスピリンは抗血小板薬といわれており血小板凝集に関わるTXA2(トロンボキサンA2)の生成を抑えることで血栓の生成を抑える作用があります。
ワーファリン=抗凝固薬
バイアスピリン=抗血小板薬
となっており、抗血小板薬のバイアスピリンはビタミンKに関係なく作用するのが特徴です。
骨粗鬆症予防のためにも納豆(ビタミンK)は必要
ビタミンKは血液の凝固に関わることから、
「血栓ができやすい人はビタミンKを避けた方がいいのでは?」
と言われることがあります。
しかし、過剰に摂取せず、適量であればビタミンKは体にとって必要な栄養素です。
具体的には骨を強くする作用もあり、ビタミンK不足によって骨粗鬆症を引き起こすリスクもあります。
ワーファリンを服用していない場合は、適度に納豆やほうれん草などビタミンKを含む食品を摂取しましょう。
ビタミンKの1日摂取量の目安ですが、30歳以上の成人の場合、
男性:75μg
女性:65μg
となっています。