風邪でのどの炎症がある場合に処方される薬がトラネキサム酸錠250mg「YD」です。
500mgタイプも存在し、のどの痛みの場合は1回250mg〜500mgを1日3回毎食後で処方されるケースが多いです。
トラネキサム酸錠「YD」はトランサミン錠のジェネリック医薬品で「陽進堂」と「日医工」から販売されています。
トラネキサム酸について薬局で患者さんから聞かれる質問についてまとめました。
のどの痛みでトラネキサム酸を服用する方の疑問が少しでも解消できると幸いです。
効能・効果
トラネキサム酸錠「YD」の効能・効果です。
トラネキサム酸はのどの痛みだけでなく出血を抑える働きもあります。
薬の説明書をもらった時に「止血剤」と書かれてびっくりされる方もいらっしゃいますが、のどの腫れを抑える目的で頻繁に使われますので安心してください。
【効能・効果】
- 全身性線溶亢進が関与すると考えられる出血傾向(白血病、再生不良性貧血、紫斑病など及び手術中・術後の異常出血)、局所線溶亢進が関与すると考えられる異常出血(肺出血、鼻出血、性器出血、腎出血、前立腺手術中・術後の異常出血)
- 下記疾患における紅斑・腫脹・そう痒などの症状
湿疹およびその類症、蕁麻疹、薬疹・中毒疹 - 下記疾患における咽頭痛・発赤・充血・腫脹などの症状
扁桃炎、咽喉頭炎 - 口内炎における口内痛および口内粘膜アフター
のどの炎症を抑える作用機序(メカニズム)
トラネキサム酸には
- 抗炎症作用
- 止血作用
があります。
今回は抗炎症作用のメカニズムについて解説します。
のどの「腫れ」や「赤み」「痛み」を引き起こす物質に「プラスミン」というものがあります。
トラネキサム酸は「プラスミン」と呼ばれる物質の働きを邪魔したり、生成を抑える作用があります。
そのため咽頭炎や喉頭炎でトラネキサム酸を服用することでの「炎症」や「腫れ」「痛み」を和らげることができるのです。
トラネキサム酸は美容外科や皮膚科で肝斑治療薬としても使われています。
肝斑治療での詳細はこちらにまとめました。
トランサミン(トラネキサム酸)がシミ・美白・肝斑に効く作用機序(メカニズム)
妊娠中(妊婦)・授乳中の服用
トラネキサム酸は妊娠中や授乳中に対する注意書きがないことから処方されることがあります。
授乳中でも「授乳を中止しなくてもよい」と指導されるケースもあります。
自己判断では服用せず、必ず医療機関を受診して処方してもらってください。
眠気の副作用はでる?
トラネキサム酸は0.1%未満の確率で「眠気」の副作用が報告されています。
確率としては非常に低く、眠気はほとんどでない薬です。
ロキソニン(ロキソプロフェン)との併用は可能?
のどの炎症がひどい場合や熱がある場合にトラネキサム酸にロキソニン(一般名:ロキソプロフェンナトリウム)が併用されることがあります。
相互作用はなく飲み合わせには問題ありません。
生理の出血量に影響でる?
生理による出血についても、出血量が多い場合にトラネキサム酸を服用すると、出血量が減ることが報告されています。
そのため生理への影響がまったくでない薬ではありませんが、服用を中止すれば元に戻りますし、比較的安全に使用できるのが特長です。
市販薬はある?
トラネキサム酸は入った市販薬は数多く販売されていますが、トラネキサム酸のみが入ったものは存在しません。
「のど」の痛みにピンポイントを絞ったトラネキサム酸入りの市販薬に「ペラックT錠」があります。
もし「のど」の痛みだけで鼻水や熱、咳がでないようであれば余計な成分が入っていないものを選ぶことをオススメします。