緑内障や高眼圧症の治療薬として使われる目薬がトルソプト点眼液(一般名:ドルゾラミド塩酸塩)です。
トルソプト点眼液がどのようにして眼圧を下げるのか?作用機序や点眼時の注意点についてまとめました。
炭酸脱水素酵素阻害薬・作用機序
トルソプト点眼液の有効成分であるドルゾラミドは房水の産生を抑えることで眼圧を低下させる作用があります。
眼圧は房水の産生と排泄によって調整されているのですが、
房水の産生が多かったり、房水の排泄が上手くいかなくなると眼圧が上昇してしまいます。
緑内障治療薬は大きく分けて2つに分類されます。
- 房水の産生を抑える薬
- 房水の流出を促す薬
トルソプト点眼液(ドルゾラミド)は炭酸脱水素酵素阻害薬と呼ばれ「房水の産生を抑える」働きがあり、眼圧を低下させます。
房水の産生に大きく関与しているのが重炭酸イオン(HCO3-)です。
重炭酸イオン(HCO3-)は二酸化炭素と水から炭酸脱水素酵素によって生成されます。
トルソプトのような炭酸脱水素酵素阻害薬は炭酸脱水素酵素の働きを抑えることで、重炭酸イオン(HCO3-)の生成を抑え、結果的に房水の産生が抑えられるのです。
重炭酸イオン(HCO3-)とナトリウムイオン(Na+)
では、なぜ重炭酸イオン(HCO3-)の産生が低下すると、房水の産生も低下するのでしょうか?
ここからはもう少しつっこんだ内容になります。
毛様体では水(H2O)と二酸化炭素(CO2)から炭酸脱水素酵素によって重炭酸イオン(HCO3-)が生成されます。
重炭酸イオン(HCO3-)が生成されると、ナトリウムイオン(Na+)の輸送系が働き、
下記の図のように眼房水が産生されます。
炭酸脱水素酵素阻害薬を投与すると、重炭酸イオン(HCO3-)の産生が低下します。
重炭酸イオン(HCO3-)の濃度に連動して、ナトリウムイオン(Na+)の輸送が行われているのですが、
重炭酸イオン(HCO3-)の濃度が低下することで、ナトリウムイオン(Na+)の輸送が低下し、結果的に房水の産生も低下するのです。
他の目薬との併用間隔
トルソプト点眼液を使用中に他の目薬を使う場合は、トルソプトを点眼後5分以上は間隔をあける必要があります。
目頭を指で押さえる
トルソプト点眼液を使用後は全身に吸収されるのを防ぐためにも目頭を1〜5分指で押さえるようにしましょう。
具体的な方法はこちらに記載しています。
目薬をさした後に涙囊部(目頭)をおさえる理由