パーキンソン病は下記の4つを特徴とする疾患です。
- 振戦(手足のふるえ)
- 筋固縮(こわばり)
- 無動(動作が遅い)
- 姿勢・歩行障害
パーキンソン病は黒質メラニン含有神経細胞の変性によって中枢のドパミンが減少することが原因と考えられています。
そのため脳内でドパミンと同じように働くドパミン受容体刺激薬が治療薬として使用されます。
ドパミン受容体刺激薬に分類される貼り薬がニュープロパッチ(一般名:ロチゴチン)です。
ニュープロパッチはパーキンソン病の治療薬だけでなく、レストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群)にも適応のある薬剤です。
ニュープロパッチのレストレスレッグス症候群の治療についてはこちらにまとめています。
ニュープロパッチがパーキンソン病に効果を示す作用機序や使い方、特徴についてまとめました。
ニュープロパッチ(ロチゴチン)作用機序
パーキンソン病はドパミンが減少することが原因と考えられていますので、ニュープロパッチ(ロチゴチン)によって脳内のドパミン受容体を刺激し、ドパミン伝達系を活性化することで、ふるえ、筋肉のこわばり、動作が遅くなるといったパーキンソン病症状を改善します。
ドパミン受容体にはD1受容体系(D1,D5)、D2受容体系(D2,D3,D4)があります。
ニュープロパッチ(ロチゴチン)はドパミンD1受容体系とドパミンD2受容体系のどちらにも作用し、D1〜D5の全てに対して結合するのが特徴です。
麦角系と非麦角系
パーキンソン病治療に使われるドパミン受容体刺激薬は化学構造上の違いから「麦角系(読み方:ばっかくけい)」と「非麦角系(読み方:ひばっかくけい)」に分類されます。
麦角系は長期使用により心臓弁膜症や肺線維症が問題となり、一方で非麦角系は突発性睡眠などの「眠気」の副作用が問題となります。
一般的には非麦角系の治療薬で効果不十分の場合や、副作用に問題がある場合にのみ、麦角系の治療薬が使用されます。
ニュープロパッチ(ロチゴチン)は非麦角系に分類されます。
貼り方(使い方)
貼る場所ですが、肩、上腕部、腹部、側腹部(わき腹)、臀部(おしり)、大腿部(太もも)のいずれかの正常な皮膚に貼付し、24時間毎に貼り替えます。
貼る場所には汚れや汗をタオルで拭き取って清潔にします。
剥がれるのを防止するためにも、貼った後20〜30秒間は手のひらでしっかり押し付けて完全に密着するようしましょう。
同じ場所に貼り続けると皮膚の刺激となりかぶれやすくなりますので、毎日貼る場所はずらして使用します。
切ってもいい?
ハサミなどでニュープロパッチを切ると薬の効果が低下することがありますので、絶対に切って使用するのは避けてください。
廃棄方法について
剥がしたパッチの内側には薬効が残っているケースがありますので、接着面を内側にして折りたたみゴミとして廃棄しましょう。
子供の手に触れないように注意してください。
衝動制御障害について
ご家族の方へ
ドパミンは快楽・興奮に関与する物質のためドパミン受容体刺激薬によって、衝動の制御がきかなくなることがあります。
- ギャンブルをしたい衝動を抑えられない
- 性衝動を抑えられない
- 買い物をしたい気持ちを抑えられない
- 食べ物を食べたい衝動が抑えられない
このような症状がでた場合は薬の量が調整されるケースがありますので、必ず主治医に相談するようにしてください。
またこれらの症状は薬によるものであることを理解しておきましょう。