帯状疱疹の皮膚症状が治ったにも関わらず下記のような痛みが続く場合、
帯状疱疹後神経痛の可能性があります。

  • うずくように痛い
  • 焼けるように痛い
  • ピリピリと痛い
  • 電気が走るように痛い
  • 衣服が肌に触れるだけで痛い

帯状疱疹による痛みは下記の2つに分類されます。

  • 侵害受容性疼痛
  • 神経障害性疼痛

侵害受容性疼痛は急性期の痛みで帯状疱疹によって皮膚の炎症が起こり、鋭い痛みや鈍い痛みを感じます。

一方で神経障害性疼痛は神経が傷つけられることで生じる痛みです。

神経障害性疼痛の中でも帯状疱疹の原因である水痘・帯状疱疹ウイルスによって神経が傷つけられたり、変性することによって生じる痛みは帯状疱疹後神経痛PHN:postherpetic neuralgia)と呼ばれます。

帯状疱疹後神経痛(PHN)は頻度の高い帯状疱疹の合併症です。

帯状疱疹後神経痛(PHN)の治療には薬物治療、神経ブロック療法や理学療法、レーザー治療などがありますが、痛みを抑えるための薬物治療について解説していきます。

帯状疱疹後神経痛(PHN)治療薬・第一選択薬

日本ペインクリニック学会の「神経障害性疼痛薬物療法ガイドライン」において、帯状疱疹後神経痛(PHN)の第一選択薬は下記の3種類です。

  • Ca2+α2δ(アルファ2デルタ)リガンド
  • セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)
  • 三環形抗うつ薬(TCA)

神経障害性疼痛への適応の有無、特徴についてまとめていきます。

Ca2+α2δ(デルタ)リガンド

一般名
商品名
適応特徴
プレガバリン
リリカ
副作用による眠気・ふらつきあり
高齢者では転倒に注意
ガバペンチン
ガバペン
×日本では適応なし
海外では第一選択薬
眠気・めまい・頭痛の副作用あり

 

セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)

一般名
商品名
適応特徴
デュロキセチン
サインバルタ
×抗うつ薬
糖尿病性神経障害に効能・効果あり
神経障害性疼痛に対する鎮痛作用があると考えられる
服用初期の胃腸障害に注意

 

三環系抗うつ薬(TCA)

一般名
商品名
適応特徴
アミトリプチリン
トリプタノール
三環系の抗うつ薬
口渇・眠気・ふらつきの副作用あり  
ノルトリプチリン
ノリトレン
×
イミプラミン
トフラニール
×

 

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帯状疱疹後神経痛(PHN)治療薬・第二選択薬

ワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液

一般名
商品名
適応特徴
ワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液
ノイロトロピン
下行性疼痛抑制系賦活薬
副作用が少ない

 

トラマドール(オピオイド:軽度)

一般名
商品名
適応特徴
トラマドール
トラマール
ワントラム
他のオピオイド鎮痛剤に比べて便秘・嘔吐などの副作用が少ない
トラマドール・アセトアミノフェン
トラムセット

 

帯状疱疹後神経痛(PHN)治療薬・第三選択薬

オピオイド:中度〜強度

一般名
商品名
適応特徴
フェンタニル
ワンデュロ
フェントス
デュロテップ
眠気・悪心・便秘の副作用の発現率が高い
オキシコドン
オキノーム
×
ププレノルフィン
ノルスパン
×