水虫やカンジダ症に処方される抗真菌薬がルリコンです。
ルリコンにはルリコンクリーム、ルリコン軟膏、ルリコン液の3つのタイプが存在します。
ルリコンについて薬局で相談を受ける内容をまとめました。
ルリコンを使用する方の疑問を解決し適正使用に繋がれば幸いです。
塗り方(使い方)
ルリコンは1日1回患部に塗布します。
正常な皮膚には悪影響がでないことから、患部より広めに塗ることをオススメします。
またタイミングですが皮膚の吸収が最もよくなる入浴後に塗るのがよいでしょう。
クリーム・軟膏は指で、液は容器の先端を手に押し当てて薬を出したあと指で伸ばしていきます。
作用機序(メカニズム)
ルリコンの有効成分である「ルリコナゾール」は真菌の細胞膜の構成成分であるエルゴステロールの合成を阻害します。
より細かく作用機序を解説します。
真菌の細胞膜の構成成分であるエルゴステロールは下記のように合成されます。
メバロン酸
↓
スクアレン
↓
ラノステロール
↓
エルゴステロール
エルゴステロールはメバロン酸からラノステロールを経て合成されます。
ラノステロールはエルゴステロール合成酵素(ラノステロール-14-α-デメチラーゼ)によって変換され最終的にエルゴステロールが作られます。
ルコナック(ルリコナゾール)はエルゴステロール合成酵素(ラノステロール-14-α-デメチラーゼ)の働きを抑えることで、真菌の細胞膜の構成成分であるエルゴステロールの合成を抑え抗真菌作用を示すのです。
人間の細胞膜に「エルゴステロール」は存在しないことから人の細胞を傷つけず、真菌のみに作用するのが特徴です。
効能・効果
ルリコンの効能・効果は下記のとおりです。
下記の皮膚真菌症の治療
白癬:足白癬、体部白癬、股部白癬
カンジダ症:指間びらん症、間擦疹
癜風(でんぷう)
白癬とはカビの1種である「真菌(しんきん)」が原因で起こります。
足に真菌が感染するのが「水虫」、陰部(股部)に真菌が感染するのが「いんきんたむし」、体部に真菌が感染するのが「ぜにたむし」とも呼ばれます。
カンジダ菌は人間に元々住み付く菌で免疫低下や、抗生物質を内服した時などにカンジダ症として現れます。
癜風(読み方:でんぷう)とは癜風菌という人の皮膚に元々ある常在菌が原因となります。
爪水虫には効果ある?
ルリコン液が爪水虫で処方されることがありますが、ルリコン液は爪水虫の適応はありません。
今まで、爪水虫は飲み薬でしか治療ができませんでした。
ルリコンと同じルリコナゾールが入ったルコナック爪外用液が爪水虫専用の治療薬として開発され、外用剤でも爪水虫が治療できるようになっています。
妊娠・授乳中の使用
妊婦さんの場合、「治療の有益性が危険性を上回る場合にOK」となっています。
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ使用すること。〔妊娠中の使用に関する安全性は確立していない。〕
引用元 ルリコンインタビューフォーム
授乳中は特に注意書きがなく「授乳を中止することなく使用してもよい」と指導されるケースが多くあります。
市販薬はある?
ルリコンの有効成分である「ルリコナゾール」が入った市販薬は販売されていません。
ルリコナゾールの入った市販薬はありませんが、同じ作用機序で真菌の細胞膜の構成成分であるエルゴステロールの生合成を阻害する市販の水虫治療薬は多数販売されています。
中でもルリコナゾールと同じ系統であるイミダゾール系の主な市販薬は下記のとおりです。
- ピロエースW(ラノコナゾール)
- フットガンコーワ(ラノコナゾール)
- デシコートUN(ビホナゾール)
- ユンカーエース(ビホナゾール)
水虫治療の市販薬では有名なラミシールやブテナロックはルリコンと系統は異なり、作用部位にも違いはありますが、エルゴステロールの生合成を阻害する点では大まかには同じといえます。
水虫の時の基本は「かきくけこ」です。
か=かんそうさせる
き=きれいにする
く=くすりをつける
け=けちらない
こ=こんきよく続ける
患部はできる限り乾燥させることを心がけ、薬はケチらずたっぷり使用しましょう。
またよくなってもしばらくは塗り続ける必要がありますので、主治医からOKがでるまでは使用を続けるようにしましょう。