プラケニル錠(一般名:ヒドロキシクロロキン)は皮膚エリテマトーデス(CLE)、全身性エリテマトーデス(SLE)の治療薬です。
プラケニル錠はCLEやSLEにおいて海外では標準的治療薬として位置付けられています。
皮膚エリテマトーデス(CLE)、全身性エリテマトーデス(SLE)の症状、プラケニル錠の作用機序や注意点について解説していきます。
全身性エリテマトーデス(SLE)とは?症状
全身性エリテマトーデス(SLE)は臓器や皮膚など全身に炎症が起こる自己免疫疾患です。
原因は分かっていませんが、自分の体を自分の免疫が攻撃してしまう「免疫の異常」が関与しています。
SLEの症状 | 具体的症状 |
---|---|
全身症状 | 発熱、全身倦怠感、疲れやすい |
関節症状 | 関節の炎症、関節痛、筋肉痛 |
皮膚症状 | 顔面の蝶形紅斑、円板状皮疹などの皮膚症状 |
皮膚エリテマトーデス(CLE)とは?症状
皮膚エリテマトーデス(CLE)は、症状が皮膚だけに限定されています。
特徴的なのが頬にできる蝶形紅斑(読み方:ちょうけいこうはん)です。
蝶が羽を広げたような形の赤い発疹が頬にでます。
また白くて薄いかさぶたができる円板状の紅斑が顔面、耳、首の周りに発生したり、日光にあたった部分に紅斑や水泡がでることがあります。
寒冷刺激によって手指が冷たくなるレイノー現象や凍瘡様紅斑(読み方:とうそうようこうはん)が出ることがあります。
プラケニル作用機序
プラケニル(ヒドロキシクロロキン)の明確な作用機序は分かっていないようですが、下記の作用が認められています。
- 免疫調整作用
- 抗炎症作用
- 抗マラリア作用
プラケニル(ヒドロキシクロロキン)は細胞内で消化作用のあるリソソーム内に蓄積しpHを変化させることで、 炎症の原因となるサイトカインの産生や放出を抑制されると考えられています。
皮膚症状の程度や進行を抑えたり、筋肉や関節の痛みを抑えたり、倦怠感(だるさ)の改善が期待されます。
ヒドロキシクロロキンと似た様な構造を持つクロロキンは抗マラリア薬として日本で処方されていましたが、高用量で網膜症の副作用が問題になり販売中止となっています。
網膜症などの眼障害 の副作用に注意
頻度は少ないですがプラケニルの重大な副作用である網膜症に注意する必要があります。
- 視力が下がる(視力低下・霧視)
- 近くのものにピントが合いにくい(調節障害)
- 色が分かりにくくなる(色覚障害)
- 暗くなると見えにくくなる(夜盲)
- 視野が狭くなる(視野狭窄)
- 視野の中に見えない部分がある(暗点)
- 光りが見える(光視症)
- ものがゆがんで見える(変視症)
上記のような症状が現れた場合、すぐに主治医に相談するようにしましょう。
また長期に服用する場合には年に1回は眼科検査をすることとされていますが、下記に該当する場合は頻回に検査を実施する必要があります。
- 累積投与量が200g(1000錠)を超えた患者
- 肝機能障害患者又は腎機能障害患者
- 視力障害のある患者
- 高齢者
1日平均投与量として6.5mg/kg(理想体重)を超えると網膜障害を含む眼障害の発現リスクが高くなることが報告されています。
低血糖症状の副作用に注意
頻度は不明ですがプラケニルを服用すると低血糖症状が現れることがあります。
- 生あくび
- 強い空腹感
- 冷や汗
- 吐き気
- 頭痛
上記のような低血糖症状を感じた場合は、ブドウ糖やショ糖の入った清涼飲料水、アメなどの糖分を摂取しましょう。
エリテマトーデスは紫外線に長時間あたると悪化することがありますので、肌の露出は避けて、日傘や帽子などを使って紫外線から肌を守りましょう。