血圧が低く朝なかなか起きれない、立ち上がった時にふらふらするなど低血圧に処方される薬がリズミック(成分名:メチル硫酸アメジニウム)です。
最高血圧が100~110mmHgを切ってくると、立ちくらみやめまい、体のだるさ、疲れやすいといった低血圧に特有の症状がでてきます。
低血圧に効能・効果のあるリズミック(アメジニウムメチル硫酸塩)について、薬局で患者さんから聞かれることを中心にまとめてみました。
ジェネリック医薬品との違い
リズミックには薬価の安いジェネリック医薬品が発売されています。
アメジニウムメチル硫酸塩錠10mg+メーカー名の名前でサワイ製薬やフソー、日医工などから発売されています。
先発品と後発医薬品は添加物が異なりますが、有効成分は全く同じです。
作用機序・血圧を上げる理由
リズミックがなぜ低血圧に効果があるのでしょうか?
リズミックが血圧を上げるメカニズムについて説明したいと思います。
身体の中には血圧を上げる「ノルアドレナリン」という物質があります。
ノルアドレナリンが心臓や血管に作用して、心臓の拍出量を増やし、血管を収縮させ血圧をあげます。
少し専門的な話になりますが、ノルアドレナリンは心臓のβ受容体、血管のα受容体というところに作用します。
放出されたノルアドレナリンは神経末に取り込まれてしまうのですが、リズミック(メチル硫酸アメジニウム)はノルアドレナリンが神経末に取り込まれるのを防ぐことで、ノルアドレナリンの量を増やします。またノルアドレナリンが不活性化することを防ぐ作用もあります。
そのため、ノルアドレナリンの作用が強くなり、心臓の拍出量が増え、また血管が収縮し血圧があがるのです。
副作用は動悸・頭痛など
「リズミック(アメジニウムメチル硫酸塩)の副作用はある?」
患者さんから聞かれる質問ですが、主な副作用はドキドキするなどの動悸や頭痛、ムカツキなどが低い確率で報告されています。
副作用自体は少ない薬となっています。
承認までの臨床試験693例及び使用成績調査・特別調査5,045例の合計5,738 例中206例(3.59%)に副作用がみられた。そのうち主なものは、動悸(0.71%)、頭痛(0.33%)、嘔気・嘔吐(0.33%)、ほてり感(0.21%)、高血圧(0.27%)等であった。(再審査終了時)
引用元 リズミックインタビューフォーム
妊娠・授乳中の服用
「リズミックは妊婦でも飲める?」
「授乳中だけど服用していい?」
患者さんからよく聞かれる質問の一つです。
製薬メーカーの説明書によると、妊娠中にリズミックを処方する場合は「治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること」となっています。
絶対に処方してはいけない「禁忌」にはなっていません。
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。〔妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。〕
引用元 リズミックインタビューフォーム
また授乳中の服用ですが、製薬メーカーの説明書では「授乳を中止すること」となっています。
投与中は授乳を避けさせること。〔動物実験(ラット)において乳汁中への移行が報告されている。〕
引用元 リズミックインタビューフォーム
飲み忘れた場合の対応
「飲み忘れた場合は気付いた時に飲んでいい?」
飲み忘れの質問は患者さんから時々聞かれることがあります。
飲み忘れた場合はどのように対応すればよいのでしょうか。
たとえば1日1回朝食後に処方されいて、朝飲み忘れてしまい、昼過ぎに気づいてしまった場合。
リズミックは約半日(12時間)ほど効果が持続しますので、昼過ぎに飲んでしまうと翌日服用時に作用が強く出てしまう可能性があります。
一般的には飲み忘れた場合は飛ばして次回から正しい量を服用することとなっています。
1日飲み忘れたからといって身体に問題が起こるお薬ではないですしね。
ただし、血液透析時の血圧低下防止目的で処方されている場合は、透析までに気づいた時に服用することとなっています。
なお、食事の影響は受けないため、空腹時の服用となっても問題ありません。