血圧が低い時や、立ち上がった時に血圧が低下する起立性低血圧時に処方される昇圧剤がメトリジン(成分名:ミドドリン塩酸塩)です。
メトリジンは口の中で溶かす口腔崩壊錠、メトリジンDの規格も存在しますが効能・効果はまったく同じです。
メトリジンについて患者さんから聞かれる質問を中心にまとめてみました。
ジェネリック医薬品
メトリジンには薬価の安いジェネリック医薬品がいくつか発売されています。
ミドドリン塩酸塩錠+メーカー名の名前でオーハラ薬品、テバ製薬、サワイ製薬などから発売されています。
先発品と後発品は添加物が異なりますが、有効成分のミドドリン塩酸塩が全く同じ量が入っています。
作用機序・血圧を上げるメカニズム
なぜメトリジン(ミドドリン)が血圧を上げるのか?
作用機序(メカニズム)について簡単に説明したいと思います。
血管(平滑筋)にはα1受容体というものが存在します。
α1受容体が刺激されると血管が収縮し、血圧が上昇するのですが、メトリジンはα1受容体を刺激する作用があるのです。
そのためメトリジンを服用すると血圧が上昇し、立ち上がった時の血圧の低下も防ぐことができます。
頭痛の副作用があり
メトリジンの副作用ですが、低い確率で頭痛や悪心、腹痛が報告されています。
総症例9,156例中、121例(1.32%)154件に副作用が認められた。その主なものは、頭痛14件、悪心13件、腹痛12件であった。
引用元 メトリジンインタビューフォーム
もし頭痛や動悸がある場合、頭を高くして寝ると改善されることがありますが、頭痛や動悸が長く続く場合は主治医に相談してください。
妊娠・授乳中の使用
「妊婦だけどメトリジンは投与できる?」
医療従事者からも質問されることですが、製薬メーカーの説明書では「投与しないことが望ましい」となっています。
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないことが望ましい。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。]
引用元 メトリジン添付文書
しかし、製薬メーカーの特別調査で、妊娠中にメトリジンを処方したデータがあるのですが「異常はなし」と報告されています。
特別調査において、成人女性を限定として本剤の妊婦に対する使用例の収集に努め、妊娠中の投与が確認された症例について追跡調査を実施した。一次調査の565例中4例の妊婦症例が回収され、出産までの追跡調査の結果、いずれの症例も母児ともに本剤によると考えられる異常は認められなかった。
また、授乳中については製薬メーカーの説明書では「授乳を中止すること」となっています。
授乳中の婦人には本剤投与中は授乳を避けさせること。[動物実験(ラット)で乳汁中へ移行することが報告されている。]
引用元 メトリジン添付文書