てんかん発作は脳内の一部で過剰な興奮が生じる部分発作と、
脳全体で過剰な興奮が一斉に生じる全般発作の大きく2つに分類されます。
部分発作はさらに下記のように分類されます。
- 単純部分発作
意識障害を伴わない発作 - 複雑部分発作
意識障害を伴う発作 - 二次性全般化発作
部分発作が脳全体に広がる
全般発作はさらに下記のように分類されます
- 欠神発作
数十秒程度意識がなくなる発作 - 強直間代発作
突然意識を失い、歯を食いしばり全身が硬直した強直発作、膝を折り曲げて手足をガクガクと一定のリズムで曲げたり伸ばしたりする間代発作がある - 脱力発作
全身の筋肉の緊張が低下するため崩れるように倒れる発作 - ミオクロニー発作
手足など一部分の筋肉がピクっと一瞬収縮する発作
他のてんかん薬で効果が認められない部分発作に適応のある薬剤がガバペン錠(一般名:ガバペンチン)です。
ガバペン錠(一般名:ガバペンチン)がどのようなメカニズムで効くのか?(作用機序)や、特徴についてまとめました。
ガバペン(ガバペンチン)作用機序
脳内では神経細胞の「興奮」と「抑制」でバランスをとっているのですが、てんかんの患者さんの脳内では興奮が過剰となっています。
ガバペン(ガバペンチン)は、
- 興奮を抑える
- 抑制を高める
以上の2つのアプローチで抗てんかん作用を示します。
興奮を抑える作用
脳の興奮に関与しているのがCa2+(カルシウムイオン)です。
脳内の情報伝達は前シナプス→後シナプスで行われているのですが、前シナプス内にCa2+(カルシウムイオン)が入りこむと興奮物質のグルタミン酸が放出されます。
ガバペン(ガバペンチン)は前シナプスにCa2+が入る部分(α2δサブユニット)に結合することでCa2+の流入を抑え、興奮を沈めます。
抑制を高める作用
脳内で抑制性神経伝達物質として働くのがGABA(ガンマアミノ酪酸)です。
ガバペン(ガバペンチン)は脳内のGABA量を増加させ、抑制性神経系機能を維持・増強します。
線維筋痛症や帯状疱疹後神経痛に適応外で使用される
ガバペン(ガバペンチン)は適応外処方になりますが、線維筋痛症や帯状疱疹後神経痛に対する鎮痛薬として処方されるケースがあります。
薬の説明書を読んで「てんかんじゃないのになんで?」と疑問に思われるケースもありますが、ガバペンチンは海外では神経障害性疼痛に鎮痛効果とQOLの改善が認められており第一選択薬として使用されています。
主な副作用・車の運転は避ける
ガバペン(ガバペンチン)の主な副作用は、傾眠(33.5%)浮動性めまい(15.9%)頭痛(8.6%)複視(5.0%)倦怠感(3.8%)等となっています。(承認時397例中)
眠気が高い確率で報告されているため「車の運転など危険を伴う機械の操作に従事させないこと」とされています。