2型糖尿病の治療に使用される注射薬がバイエッタ皮下注(一般名:エキセナチド)です。
バイエッタはアメリカに生息する大トカゲの唾液に含まれる成分を合成したものになります。
糖尿病の注射薬といえば「インスリン」をイメージするかと思いますが、バイエッタはインスリン製剤ではなくインクレチンホルモンの様に作用する薬剤です。
インクレチンホルモンは血糖値の上昇に応じて膵臓からインスリンの分泌を促し、また血糖値を上昇させるグルカゴンの分泌を抑えることで血糖値を下げる働きがあります。
バイエッタ皮下注について作用機序や悪心・下痢など副作用の対応について記載しました。
作用機序(メカニズム)
バイエッタ(エキセナチド)は血糖値の上昇に応じてインスリンの分泌を促し血糖値を下げる作用があります。
そのため他のインスリン製剤に比べて「低血糖が起こりにくい」のが特徴です。
もう少し詳しく解説していきます。
血糖値が高くなると小腸からインクレチンホルモン(GLP-1、GIP)が分泌され、血糖値を下げるようにインスリンの分泌を促します。
しかしインクレチンホルモンはDPP4(Dipeptidyl Peptidase-4)という酵素によって不活性化されてしまいます。
このような欠点を改善しDPP4によって分解されず、インクレチンホルモンのように作用するように作られたのがバイエッタ(エキセナチド)です。
インクレチンホルモンの中でもインスリンを分泌させる作用はGLP-1の方がGIPより数倍強いとされています。
インスリン分泌作用が強いGLP-1に似せて作られたのがバイエッタ(エキセナチド)です。
バイエッタ(エキセナチド)には主に下記の3つの作用があります。
- 血糖値に応じてインスリンを分泌を促進させる作用
- 血糖値を上昇させるグルカゴン分泌を抑制する作用
- 胃内容物排出遅延作用
血糖値の上昇に応じてインスリンを分泌を促し、また血糖値を上昇させるグルカゴン分泌を抑えることで血糖値を下げる作用があります。
また胃の運動を抑制させ、食欲を低下させる作用や、肥満の方には体重減少も期待できます。
食前とは食事の60分前以内
バイエッタは通常1日2回朝・夕食前に使用します。
食事の60分前以内に使用しなければいけません。
悪心・下痢など消化器症状の副作用
バイエッタを使用すると、悪心や下痢などの消化器症状の副作用が最も高い頻度で報告されています。
使用していくうちに、消化器症状の副作用は軽減していくのが特徴です。
特に初めて使用する場合は、脂肪の多いものを避けて、腹八分目に抑えることをお勧めします。