ビデュリオン作用機序・保管方法・旅行の際は室温保管でOK?

2型糖尿病の治療に使用される注射薬がビデュリオン皮下注（一般名：エキセナチド）です。

糖尿病の注射薬といえば「インスリン」をイメージするかと思いますが、ビデュリオンはインスリン製剤ではなくインクレチンホルモンの様に働く薬剤です。

インクレチンホルモンは、血糖値が上昇すると膵臓からインスリンの分泌を促し血糖値を下げる働きがあります。

しかしインクレチンホルモンは身体の中の酵素によって不活性化されてしまいます。

インクレチンホルモンと同じ働きをして、不活性化されないように作られたのがビデュリオン皮下注です。

ビデュリオン皮下注について作用機序や特徴をまとめました。

作用機序（メカニズム）

ビデュリオン（エキセナチド）は血糖値の上昇に応じてインスリンの分泌を促し血糖値を下げる作用があります。

そのため他のインスリン製剤に比べて「低血糖が起こりにくい」のが特徴です。

もう少し詳しく解説していきます。

血糖値が高くなると小腸からインクレチンホルモン(GLP-1、GIP)が分泌され、血糖値を下げるようにインスリンの分泌を促します。

しかしインクレチンホルモンはDPP4（Dipeptidyl Peptidase-4）という酵素によって不活性化されてしまいます。

このような欠点を改善しDPP4によって分解されず、インクレチンホルモンのように作用するように作られたのがビデュリオン（エキセナチド）です。

インクレチンホルモンの中でもインスリンを分泌させる作用はGLP-1の方がGIPより数倍強いとされています。

インスリン分泌作用が強いGLP-1に似せて作られたのがビデュリオン（エキセナチド）です。

ビデュリオン（エキセナチド）には主に下記の3つの作用があります。

血糖値の上昇に応じてインスリンを分泌を促し、また血糖値を上昇させるグルカゴン分泌を抑えることで血糖値を下げる作用があります。

また胃の運動を抑制させ、食欲を低下させる作用もあります。

エキセナチドが入ったGLP-1アナログ製剤にバイエッタ皮下注という薬剤があります。

バイエッタ皮下注は1日2回を毎日使用するのが一般的な使い方ですが、ビデュリオンは1週間に1回でバイエッタと同等の効果を示します。

ビデュリオンはエキセナチドを徐々に放出させるように設計されているため1週間間隔での使用で治療が可能となっています。

ビデュリオンは基本的には冷蔵庫保管（2℃〜8℃）となっています。
しかし旅行時などは4週間までは室温保存で問題ないとされています。
30℃以上にならないように、暑くなる場所には保管しないように注意する必要があります。