悪玉コレステロールを下げる目的で処方されるスタチン製剤にメバロチン(一般名:プラバスタチン)という薬があります。
メバロチンは微生物から発見された日本で最も古いスタチン製剤です。
メバロチンは「スダンダードスタチン」と呼ばれ、強すぎず、歴史もある薬であることから脂質異常症では処方される頻度の高い薬です。
メバロチンについて患者さんから薬局で質問を受ける内容についてまとめてみました。
効能・効果
メバロチンの効能・効果です。
- 高脂血症
- 家族性高コレステロール血症
スタチンは「ストロングスタチン」と「スタンダードスタチン」に分かれるのですが、メバロチンは「スタンダード」に分類され、悪玉コレステロールを下げる作用はマイルドなのが特徴です。
メバロチンには主に3つの作用があります。
- LDLコレステロール(悪玉)低下作用:中等度
- HDLコレステロール(善玉)上昇作用:少し
- TG(中性脂肪)低下作用:少し
ジェネリック医薬品との違い
メバロチンには薬価の安いジェネリック医薬品が販売されています。
- プラバスタチンNa錠+メーカー名
- プラバスタチンナトリウム塩錠+メーカー名
- メバトルテ
先発品と比べて添加物に違いはありますが、有効成分や効能・効果は全く同じです。
作用機序(メカニズム)
コレステロールは身体にとって不可欠で、8割が肝臓から作られ、残りの2割が食事によるものといわれています。
スタチン系と呼ばれる薬は肝臓でのコレステロールの合成を阻害することで効果を発揮します。
メバロチンの有効成分であるプラバスタチンはLDLコレステロールの合成に関わる酵素であるHMG-CoA還元酵素を阻害することでコレステロールの生成を抑えます。
肝細胞内のコレステロールが低下することで血液中のLDLコレステロールを取り込み、結果的に血液中のLDLコレステロールが低下するのです。
プラバスタチンはLDLコレステロールを低下させるだけでなく、善玉コレステロールといわれるHDLコレステロールを少し上昇させたり、中性脂肪(TG)を少し下げる作用もあります。
グレープフルーツジュースとの飲み合わせ
メバロチンを服用中にグレープフルーツジュースやグレープフルーツの摂取は問題ありません。
コレステロールを下げる薬の中でリピトール(一般名:アトルバスタチン)やリポバス(一般名:シンバスタチン)はグレープフルーツによって影響がでてきてしまいます。
妊娠・授乳中の服用
メバロチンは妊婦さんには「投与できない」となっています。
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないこと。[妊娠中の投与に関する安全性は確立し ていないが、他のHMG-CoA 還元酵素阻害剤において、動物実験で出生児数の減少、生存・発育に対する影響及び胎児の生存率の低下と発育抑制が報告されている。また他のHMG-CoA還元酵素阻害剤において、ラットに大量投与した場合に胎児の骨格奇形、ヒトでは妊娠 3 ヵ月までの間に服用した場合に胎児の先天性奇形があらわれたとの報告がある。]
引用元 メバロチン インタビューフォーム
また授乳中に投与する場合は「授乳を避けること」となっています。
授乳中の婦人に投与することを避け、やむを得ず投与する場合には授乳を中止させること。[ラットで 乳汁中への移行が報告されている。]
引用元 メバロチン インタビューフォーム
市販薬はある?
メバロチンの有効成分であるプラバスタチンの入った市販薬は販売されていません。
スタチン系の薬は、定期的に血液検査をしながら慎重に投与しなければいけませんので、医療機関を受診しなければ処方してもらうことはできません。
効果的な飲み方は?飲み忘れた場合の対応
コレステロールの合成は主に夜間に行われますので、特にタイミングの指定がなければ夕食後〜寝る前に飲むのが最も効果的とされています。
メバロチンは胃に負担がかからず、食事によって影響がでないことから食後でも空腹時でも服用が可能です。
飲み忘れた場合は、基本的には気付いた時に服用すれば問題ありません。
1日1回処方されている場合は、その日中であれば服用して問題ないでしょう。
1日2回処方の場合は、次回服用分との時間が近くなければ服用して問題ありません。
1度に2回分の服用は避けるようにしましょう。